December 20, 2018 / 4:49 AM / 3 months ago

コラム:最悪のタイミングで貿易減速、世界経済と市場の脅威に

[ロンドン 19日 ロイター] - 世界中で貿易の減速を示す兆候が増えており、来年の世界経済と金融市場にとって脅威となりそうだ。貿易は10年前の世界金融危機以来で最も低調で、一部の指標は数十年来の最悪水準に落ち込んでいる。

 12月19日、世界中で貿易の減速を示す兆候が増えており、来年の世界経済と金融市場にとって脅威となりそうだ。中国山東省の青島港で10日撮影(2018年 ロイター)

過去1週間だけでも、中国を含むアジアの経済大国から、貿易の息切れを示す指標が相次いだ。

世界中で株価が下落しており、貿易の減速は最悪のタイミングで訪れている。

シティによると、向こう半年間で世界の輸出量は縮小し、そのペースは2008─09年以来で最速となる見通し。輸出量が先行指標であり、世界貿易の伸びと極めて強く相関していることは警戒を要する。

オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト陣は先に、2019年の世界貿易の伸び率見通しを1.5%強引き下げて4%とした。米中貿易摩擦により、世界の総生産(GDP)が来年0.7%、2020年は1.0%、失われる可能性もあるという。

同社の報告書は「経済成長と貿易には相関がある。GDP伸び率の高い国は、GDPに占める貿易の割合の伸び率が高い傾向もある」と指摘している。

世界銀行のデータによると、世界のGDPに占める貿易の割合は4年連続で低下。過去には08─09年のように、もっと急激に低下した時期もあるが、現在は少なくとも1960年以降で最も長い低下期間となっている。

<「関税マン」>

韓国政府は今週、2019年の成長率見通しを2.6─2.7%と、12年以来の最低水準に下方修正した。インドネシアでは11月の輸出が急減。中国の11月の輸出は前年同月比5.4%増と、エコノミスト予想の半分にとどまり、10月の15.6%から大きく鈍化した。

世界貿易戦争の火種はいたる所にある。筆頭は米中貿易摩擦で、両国は90日間の「休戦」で合意したが、この間に歩み寄れなければ米国の中国からの輸入への関税率は10%から25%に引き上げられる。

来年何が起こるのか、歴史は手掛かを与えてくれるだろうか。

オックスフォード・エコノミクスの分析によると、1930年代を除き、通商上の小競り合いは世界の経済成長と資産価格に限定的な影響しか及ぼしていない。しかし貿易戦争が火を噴くと、急速な下落が起こり得る。

同社が挙げる近年の主要な貿易紛争は農業(1982─86年)、鉄鋼(1983─84年と2002─03年の2回)、タイヤ(2009─12年)を巡る4回で、このうち株価が下落したのは02─03年の1回だけだった。とはいえ、当時の株価調整は19%と激しいものだ。

GDP伸び率は株価以上にまちまちだが、全般には伸びている。貿易の伸びにはもっと厳しい影響が及んだ。

突出した例は1930年代の大恐慌。当時は保護主義の台頭に伴い、金融危機、株価暴落、厳しい景気後退が訪れた。ひとたび貿易紛争が始まるとエスカレートし、長期化しかねないことを証明したと言える。

保護主義的な政策により、世界貿易は1929年から32年にかけて30%落ち込んだ。世界のGDPに占める世界貿易の比率は29年の19%から32年には10%に縮小。60年代末になっても、この比率は29年をわずかに上回るところまでしか回復しなかった。

オックスフォード・エコノミクスは「関税率引き上げによって生まれた大きな利害関係により、企業は保護主義を望むようになった。つまり関税引き上げには拍車がかかり得るということだ」と警鐘を鳴らしている。

トランプ米大統領が自身を「関税マン」と呼んだのは、つい最近のこと。投資家は波乱万丈の新年に備えるべきだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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