[ジュネーブ 15日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)閣僚会議は15日、音楽配信や金融取引などデータを扱う電子商取引に関税を賦課しない「モラトリアム」について議論した。賛否が割れる中、世界のハイテク業界はモラトリアムを継続しなければ、世界経済の回復が腰折れすると警告している。
議論を主導したセントビンセント・グレナディーンのピーターズ貿易相は意見の相違はなおあるが、時間切れのため中間点を探るべきだと述べた。
WTOは1998年にモラトリアムで合意し、閣僚会議で何度も延長してきた。
ただ、交渉に詳しい通商筋によると、インド、インドネシア、スリランカ、パキスタン、南アフリカはさらなる延長を阻止する構えを見せている。
インドのゴヤル商工相は「モラトリアムのコストを途上国が常に全て負っているのは公正なのか」と疑問を呈し、見直しが必要と述べた。パキスタンは何十億ドルもの収入機会を失っていると主張した。
これに対し、インドやインドネシアなどの108のハイテク業界団体はWTOに文書を送ってモラトリアム延長を訴えた。
15日の協議で米国と欧州連合(EU)の当局者らもモラトリアム解除は代償を伴うと論じた。欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長は「どのWTO加盟国の国益にも合致しないはずだ」と強調した。
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