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焦点:トランプ氏に「不確か」な未来、訴訟リスクや再出馬観測

[ワシントン 15日 ロイター] - ついにトランプ米大統領がホワイトハウスを去る日がやってこようとしている。だが彼が「静かに消えゆく」ことはないだろう。

11月3日の選挙結果を覆そうとトランプ氏が試みた法廷闘争はことごとく失敗し、今週14日の選挙人投票によって民主党候補バイデン氏の勝利が正式に決まったため、トランプ氏は来年1月20日以降、野に下る。

トランプ氏の身の振り方にはさまざまな選択肢がある。2024年の大統領選出馬やメディア業界への進出なども出ている一方、法の裁きを受ける恐れや、事業面での試練にも直面している。

1つだけはっきりしているのは、常に注目されたがるトランプ氏の性格から考えて、過去の大統領の退任後の過ごし方は決して見習わないだろうという点だ。例えばジョージ・W・ブッシュ氏(子)がひっそりと絵画にいそしんだり、ジミー・カーター氏が地道に国際平和活動に取り組んだりしているのに似た光景は想像できない。

やはりトランプ氏の未来は、大統領時代と同じく喧噪や厚かましさがついてまわると思われる。

とはいえ、そうした未来の世界をトランプ氏が全部コントロールできるわけでもない。大統領就任前の行為やファミリー企業の活動を巡り、民事と刑事双方の訴訟が待ち構えており、大統領としての特別な法的保護がなくなれば、それが一気に加速しかねない。

トランプ氏は、注目を浴び続けるための幾つもの方法を検討中。側近に対しては、大統領選への再出馬を考えていると伝えた。来年1月20日に予定されるバイデン氏の大統領就任式に出席しないどころか、その当日に次回24年の大統領選に出ると表明する案にも言及している。そうなれば16年と20年に展開してきたような騒々しい政治集会の開催を今後も続けることができる。

再出馬はトランプ氏お好みの「型破り」とも言える。確かに合衆国憲法では、1人が大統領を2期務めることを認めており、これは必ずしも連続である必要はない。ただ歴史上、いったん退任した後に2期目に就任した大統領はグローバー・クリーブランド氏だけだ。クリーブランド氏は再選を目指して敗北、1889年にホワイトハウスを去った後、1893年に復帰した。

トランプ氏は既に政治行動委員会(PAC)を立ち上げており、実際に次回出馬してもしなくても、ホワイトハウスを退去した後の日々に資金集めや共和党内への影響力行使が可能だ。

12月15日、ついにトランプ米大統領がホワイトハウスを去る日がやってこようとしている。ホワイトハウスで12日撮影(2020年 ロイター/Cheriss May)

最近では同氏に非常に近いロナ・マクダニエル氏について共和党全国委員会(RNC)委員長再任を支持する姿勢を打ち出し、政治的影響力を保ちたいとの意欲を国民は垣間見ることになった。RNCは来年1月終盤にマクダニエル氏再任の是非を投票で決める予定で、トランプ氏の威光が残っているか、そして共和党員が同氏の意のままに動くかどうかが早速試されるだろう。

<メディア復帰>

リアリティ番組「アプレンティス」で一躍テレビの人気者となったトランプ氏は、スポットライトを浴び続けるために独自のメディアを立ち上げることも模索していることを複数のアドバイザーが証言している。

新しいチャンネルないしソーシャルメディアを駆使し、トランプ氏が裏切られたと思っているメディアの競争相手になるという構想もある。新テレビ局となれば、標的は大統領選以来、自分への応援が足りないと不満をあらわにしているFOXニュースだろう。側近の話では、トランプ氏は特にFOXに対して、開票作業の比較的早い時期にアリゾナ州のバイデン氏当確を打ったことに腹を立てている。バイデン氏は最終的に同州で勝利したが、他のほとんどのテレビ局は当確判定がFOXより何日もあとだった。

トランプ氏には、極めて好意的な報道をしてくれる既存のワン・アメリカ・ニュース・ネットワークやニュースマックスといったメディアがあり、彼らと協力することも考えられる。

さらに同氏がアドバイザーと議論しているのが、ツイッターに挑むソーシャルメディアの設立だ。ツイッターは、根拠を示さずに選挙に不正があったと主張するトランプ氏の投稿について、繰り返し事実確認が必要との警告を添付してきた。

一方、トランプ氏は金銭面でかなり逆風に見舞われている。分断をあおる大統領時代の姿勢が自らの事業ブランドを傷つけた上に、新型コロナウイルスのパンデミックで不動産、旅行、レジャーなどの部門が痛手を受けているためだ。

米経済誌フォーブスは9月、トランプ氏の資産が前年比で6億ドル(約620億円)減って25億ドルになったと試算。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ氏は経営する企業に個人として4億2100万ドルもの保証をしていると伝えた。

<法的リスク>

トランプ氏は大統領退任後、複数の法的な問題にも対処が必要になる。

ニューヨーク・マンハッタン地区検察のサイラス・バンス検事長(民主党)は、トランプ氏とファミリー企業であるトランプ・オーガニゼーションへの刑事捜査を続けている。

当初重点が置かれたのは、16年の選挙前にトランプ氏と性的関係を持ったと主張する2人の女性に支払われた「口止め料」を巡る問題だった。しかしバンス氏は最近裁判所向けに提出した書類で、捜査範囲が広がっており、銀行・税・保険関連の詐欺や事業報告の改ざんを焦点にする可能性があると説明した。トランプ氏はこうした捜査は、政治的動機に基づく嫌がらせだと批判している。

やはり民主党であるレティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官は、トランプ氏とファミリー企業に対する税務上の不正を調べているところだ。きっかけになったのは、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン氏が議会で、トランプ氏はローンや保険の費用節約のために資産価値を水増しし、不動産税負担軽減のためには資産価値を過少申告していたと証言したことだった。

トランプ・オーガニゼーションは、政治的動機による調査だと主張する。ニューヨーク州司法長官の調査は民事のため、罰金を科せられる可能性はあるが、投獄にはならない。

またトランプ氏は2人の女性から、性的暴行の疑いで名誉毀損の訴訟を起こされ、姪のメアリー・トランプ氏からはファミリー企業の持ち株を不当に奪われたとする訴訟を起こされている。

司法省が今後、トランプ氏を連邦所得税逃れの容疑で刑事訴追する可能性もある。NYTは最近、トランプ氏が16年と17年に納めた所得税はたった750ドルだったと明らかにした。

トランプ氏はこの報道を否定しており、違法行為があったかは不明。司法省が訴追に動くことには議論も起こるだろう。実際バイデン氏もこの問題には慎重な態度を取り、訴追する意義があるか疑念を示している。ただバイデン氏は、司法省の判断に口を挟まないとも断言している。

(John Whitesides記者、Steve Holland記者)

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