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コラム:トランプ氏の悪ふざけ、実は米デフォルト回避の糸口か
2017年8月24日 / 02:48 / 1ヶ月前

コラム:トランプ氏の悪ふざけ、実は米デフォルト回避の糸口か

 8月23日、トランプ米大統領(写真)の不真面目な態度は、金融市場にとって不安定さを増幅させる恐れがある一方、場合によっては意外な助け舟になるかもしれない。22日、アリゾナで撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領の不真面目な態度は、金融市場にとって不安定さを増幅させる恐れがある一方、場合によっては意外な助け舟になるかもしれない。

米国が数週間先にデフォルト(債務不履行)に陥るリスクが迫ってきているこの時期に、トランプ氏はメキシコとの国境の壁建設のために政府機関閉鎖も辞さない構えを見せた。こうした姿勢は協力を必要とする議員を怒らせているが、実はトランプ氏への反感こそが、事態打開に向けた政治勢力の結束を促進する可能性もあるのだ。

トランプ氏が22日夜、アリゾナ州フェニックスの支持者集会で「政府を閉鎖しなければならない」としても、壁建設の財源は勝ち取ると気勢を上げたことを受け、23日の米国株は下落した。今会計年度が終わる9月末以降の何らかの予算措置を議会と大統領が承認しなければ、連邦政府機関は閉鎖に追い込まれる恐れが出てくる。

同時に与党・共和党が20兆ドルの連邦債務上限を引き上げる計画を打ち出さないと、デフォルトのリスクが生じる。ムニューシン財務長官は、9月29日には政府の支払い能力が枯渇するとの見通しを表明。トランプ氏は選挙中、米国がデフォルトに陥っても大した問題にはならないと何度も強調した。だが債務上限を巡る与野党の対立が激化した2011年には、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が初めて米国債を格下げした。

マコネル共和党上院院内総務は21日、議会が期限までに債務上限引き上げに失敗する可能性は「ゼロ」だと楽観的な見方を示した。ただロシアの米大統領選干渉疑惑に関する上院の調査方針を巡ってトランプ氏が電話でマコネル氏を叱責して以来、2人は口をきいていない、と米紙ニューヨーク・タイムズは伝えた。トランプ氏は同氏を批判する共和党議員も攻撃の標的としており、逆にこうした議員を守るために他の共和党上院議員は団結している。

野党・民主党は共和党との協力に乗り気ではなかったが、共和党指導部は政策合意に向けてより多くの「人参」をぶら下げようという気持ちになるかもしれない。マコネル氏とライアン下院議長は、政府機関閉鎖とデフォルトのいずれも望んでいないからだ。

民主党は、共和党保守派の意向である歳出削減と債務上限引き上げ法案をセットにする方針にも反対している。

トランプ大統領はアリゾナ州で支持者らを前に演説し、看板政策であるメキシコ国境の壁建設の予算が確保されなければ、法律に署名せず政府機関の閉鎖も辞さ考えを示した。壁建設に反対する民主党に圧力をかける狙いがあったとみられるが、この発言に青ざめたのはほかならぬ共和党議員だった。

それでもトランプ氏が至る所で自ら反発を誘う種をまいていることで、与野党の穏健派が1つにまとまり、大統領の拒否権も跳ね返せるような合意が成立してもおかしくない状況だ。

●背景となるニュース

・トランプ大統領はアリゾナ州フェニックスで開いた支持者集会で、メキシコとの国境の壁建設の財源確保に必要なら、政府機関閉鎖に賛成する意向を示した。今会計年度が終わる9月末までに新年度予算案が成立するか、つなぎ予算が承認されないと、政府機関が閉鎖される恐れがある。トランプ氏は「政府を閉鎖しなければならなくても、壁を建設する」と断言した。

・ムニューシン財務長官が政府が債務支払いのための財源が枯渇すると予想した9月29日を前に、米国は債務上限引き上げというもう1つの問題にも直面している。議会で上限が引き上げられない場合、米国がデフォルトに陥りかねない。マコネル共和党上院院内総務は21日、議会が期限までに上限引き上げに失敗する可能性は「ゼロ」だと発言したが、一部の共和党議員は債務上限引き上げ法案と歳出削減をセットにしたいと考えている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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