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コラム:コミー証言で一段と困難になったトランプノミクス
2017年6月9日 / 02:13 / 5ヶ月後

コラム:コミー証言で一段と困難になったトランプノミクス

[ワシントン 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - コミー前米連邦捜査局(FBI)長官が上院情報委員会の公聴会でトランプ大統領をうそつき呼ばわりしたことで、既に青息吐息のトランプ政権はいよいよ絶体絶命の状況に追い込まれそうだ。

 6月8日、コミー前FBI長官が上院情報委員会の公聴会でトランプ大統領をうそつき呼ばわりしたことで、既に青息吐息のトランプ政権はいよいよ絶体絶命の状況に追い込まれそうだ。写真はホワイトハウスで8日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

コミー氏はトランプ氏が幾度もうそをついたと証言し、トランプ氏の自己破壊的な性向を浮き彫りにしてみせた。トランプ氏の信頼を損なう新たな材料が浮上し、政権の経済政策は実現が遠のくばかりだ。

5月にFBI長官の職を解かれたコミー氏の議会証言は事前の期待は高かったが、報道済みのことが大半で内容的には衝撃を生まなかった。コミー氏は、トランプ氏個人は捜査対象になっていないとコミー氏から聞いたとするトランプ氏の発言も確認。公聴会の開催中にS&P総合500種指数など主要株価指数は上昇した。

しかし、コミー氏のトランプ氏に対する攻撃は激烈だった。コミー氏は、自身やFBI、疑惑を巡るFBIの捜査に関してトランプ氏がうそをついたと証言。1月に初めてトランプ氏と会った後で会談の記録を取り始めたが、これはトランプ氏が会話の内容について「うそをつくかもしれない」と懸念したためだと明かした。また、コミー氏解任についてトランプ氏が説明を変えたことには「困惑した」と述べた。トランプ氏はコミー氏に対し、解任は司法省の勧めに基づくものだと説明。しかしその後、NBCニュースのインタビューで、ロシアによる米大統領選介入やトランプ陣営との癒着を巡るFBIの捜査のためと話したほか、FBIが「混乱している」とも述べた。これに対し、コミー氏は「全くのでたらめだ」と反論した。

コミー氏は、フリン前大統領補佐官に対するFBIの捜査に関してもトランプ氏が虚偽の発言をしていると指摘した。フリン氏は2月、ペンス副大統領に対して駐米ロシア大使との会談について事実と異なる報告をしたとして解任された。トランプ氏は報道陣に対し、フリン氏に対する調査を中止するようコミー氏に圧力を掛けたことはないと述べた。しかしコミー氏は、トランプ氏からこの件を「放っておいてほしい」と言われたと証言した。

コミー氏はまた、トランプ氏がコミー氏との会話を録音していた可能性を示唆したことから、トランプ氏との会談に関する記録をリークしたと述べた。こうした動きが特別検察官の指名につながることを期待したという。先月には、この疑惑を捜査する特別検察官に元FBI長官のロバート・モラー氏が指名された。モラー氏による捜査や議会の各種委員会の動きにより、トランプ政権の頭上にはロシアを巡る疑惑という暗雲が漂い続けるだろう。

トランプ政権は既に貿易協定の見直しや税制改革、医療保険制度改革などの課題で悪戦苦闘している。コミー氏がトランプ氏を「うそつき」な人物として表したことで、通商問題の相手国や民主党議員はトランプ氏と話し合う意欲をさらに失うだろう。「交渉人」を自称するトランプ氏は取引をまとめるのが一段と難しくなりそうだ。

●背景となるニュース

*コミー前FBI長官は8日、上院情報委員会の公聴会で証言し、コミー氏を解任した理由やフリン前大統領補佐官に対する捜査についてトランプ大統領が嘘をついていると述べた。

*トランプ氏は5月9日にコミー氏を解任。当初は、複数の司法省高官の勧めに基づいた人事だと述べた。トランプ氏はその2日後のNBCニュースのインタビューで、ロシアによる昨年の米大統領選への介入やトランプ陣営との癒着を巡るFBIの捜査が原因だと述べた。

*フリン氏は2月、駐米ロシア大使との会談についてペンス副大統領に事実と異なる報告をしたとして解任された。トランプ氏は、フリン氏に対する捜査を中止するようコミー氏に圧力を掛けたことはないと述べた。コミー氏は公聴会で、トランプ氏からこの件を「放っておく」よう要請されたと述べた。

*トランプ氏は、コミー氏から個人的には捜査対象になっていないと3回聞いたと述べており、コミー氏もこの内容を確認した。ただ、コミー氏は、状況が変わる可能性があるとも述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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