December 5, 2018 / 3:06 AM / 13 days ago

コラム:トランプ氏が自動車高関税適用なら、消費増税の延期も

[東京 5日 ロイター] - 2019年の日本経済は、トランプ米大統領の経済・外交政策の行方に翻弄されそうだ。米中貿易戦争の長期化が世界経済の減速懸念を強め、そこにトランプ減税の効果はく落を見越した米景気失速への懸念が足元で台頭。

 12月5日、2019年の日本経済は、トランプ米大統領(写真)の経済・外交政策の行方に翻弄されそうだ。写真はワシントンで1月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

一方、保護主義的な色彩をいよいよ強め、米国が輸入する自動車に高関税を適用する可能性を否定できなくなっている。大幅な腰折れ懸念が顕在化すれば、消費増税の延期も具体性を帯びる可能性がある。

<米経済の振幅拡大させたトランプ政策>

4日のNY市場では一時、ダウ.DJIが前日比800ドルを超す下落となり、米中貿易戦争の90日間猶予を歓迎した株高は、たった1日で幕を閉じた。

直接のきっかけは、米長期金利の低下による米景気の先行きに対する懸念の台頭と思われるが、整理して考えると、この大幅変動の起点は、どれもトランプ米大統領の政策にある。

米経済はもともと、世界で最も順調に拡大を続け、低インフレと潜在成長率を上回る成長を実現していた。そこにトランプ大統領が、10年間で総額1兆5000億ドルの税制改革案を提示。財政を吹かして、景気を持ち上げる政策を大胆に展開した。

その結果、2018年の米経済は成長率を上げ、ダウも最高値を更新するという「好況」を演出したが、人手不足による人件費高騰と物価上昇という現象ももたらした。

いわば、そこそこの景気拡大を見せていた米経済に大きな刺激を加えて、景気変動の振幅を大きくしたのがトランプ大統領の経済政策だと言える。

人件費高騰の背景の1つとして移民流入の規制も指摘されており、日本のプラントメーカーの中には、米国での人件費高騰で受注した案件の採算が悪化し、業績見通しを下方修正したところもある。

<先が見えない米中貿易戦争>

さらに大きいのは、米中貿易戦争の勃発だ。当初、市場の多くは、中国が米国からの輸入を大幅に引き上げ、それで決着すると高をくくっていた。

しかし、先の米中首脳会談後の米国側からの情報発信を見ると、知的財産権問題で米国は中国の完全な譲歩を強く求めており、90日後に決着する見通しが立たなくなっている。

そのあたりの市場の見通しの変化が、4日のNY市場での米株下落にも影響していると考える。

グローバルに展開している企業の中には、サプライチェーンの変更を検討、一部を実行に移しているところもあり、単に米中間の貿易量が減少するだけに影響はとどまらない。

<米自動車市場の変化と関税政策>

ここで注視すべきは、足元で起きている米国内での自動車販売におけるセダンの売れ行き不振だ。ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)の工場閉鎖計画は、その影響を受けた対応とみられるが、トランプ大統領は同社を強くけん制している。

この方向性がさらに強まれば、米国内での米自動車産業の生産量を維持するために、輸入される自動車に20%ないし25%の高関税をかけるという決断をトランプ大統領がする可能性が、ジワリと高まってくる。

日米間では、通商交渉の継続中は自動車関税を引き上げないという合意ができている。しかし、これは「永遠」に上げないことを保証した内容ではない。

日本政府と国内自動車メーカーが、対米自動車輸出の自主規制を自ら提案しない場合、日米通商交渉の合意時に米国が高関税適用を発表するケースも想定できる。

<消費増税なら、衆参同日選か>

いずれにしても、年間174万台の対米輸出が大幅に削減されるような展開になれば、4兆円分の対米自動車貿易黒字が大幅に減少し、日本経済に大きな打撃となる可能性が高まる。

そのケースでは、2019年10月に予定される10%への消費増税を延期する選択肢も浮上する可能性がある。

安倍晋三政権が推し進めてきた消費増税の延期は、「国民に信を問う」ことに直結し、来年7月に衆参同日選となることも十分に予想される。

このようにみてくると、2019年の日本における政治・経済上の大きな変動は、ことごとくトランプ大統領の政策対応と関連していることが分かる。

中国と劇的に和解し、さらに日本にも自動車貿易で融和的なスタンスを示せば、19年の日本経済は、想定を上回って成長する可能性がある。

しかし、米中交渉が長期化し、中国からの輸入品に25%の関税をかけ、日本の自動車にも高関税を課すような展開になれば、「大嵐」となるだろう。

●背景となるニュース

・対中交渉決裂なら追加関税、「私は関税マン」 [nL4N1Y94B1]

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