August 9, 2019 / 2:22 AM / in 2 months

コラム:トランプ氏の「ドル安誘導術」、それぞれに相応の代償

[ニューヨーク 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドル高は米国に対する信頼の証である半面、トランプ大統領にとっては悩みの種だ。トランプ氏は他国、とりわけ中国に対して自国通貨をドルに対して不当に安くしているとの批判を続けている。トランプ政権がドルを弱くすることも可能だが、それには必ず相応の代償が伴う。

8月8日、ドル高は米国に対する信頼の証である半面、トランプ大統領にとっては悩みの種だ。写真は1日、オハイオ州シンシナチで演説するトランプ氏(2019年 ロイター/Bryan Woolston)

従来のやり方は、外為市場でドルを直接売ることだ。ただ米政府は1990年代以来ほとんど実行していないし、ホワイトハウスは最近改めて否定した。実際、毎日5兆ドルが取引される市場を大きく動かすのは難しい。

ほかにも選択肢はある。通貨価値はその国の経済見通しを反映している面があるので、トランプ氏は米経済の先行きをそれほど魅力のないものにすれば良い。最も簡単なのは、昨年の減税を撤回して景気刺激効果を打ち消すことだ。ところがもし投資家が、税収増で米国の将来性が上向くと判断すると、逆効果になるかもしれない。

あるいはトランプ氏は、米国資産の投資妙味を低下させることもできる。上院では超党派のグループが外国人の米国資産購入に課税し、米連邦準備理事会(FRB)に為替レート上昇を抑える任務を命じる法案が提出された。野党・民主党の大統領候補指名を目指すエリザベス・ウォーレン上院議員もドル安が望ましいと主張している。一方で外国人の米国資産買いを妨げてしまえば、政府や企業の借り入れコストが増大し、株価が軟化するのではないか。株高は大統領としての仕事が評価されている証拠だとの見方が好きなトランプ氏にすれば、そうした事態は理想的とは言えない。

トランプ氏にはさらに別の手段が残されている。かなり露骨なのは、米経済への信認を自ら損なう政策をちらつかせる方法だろう。これは同氏が思いつく限り、どんなことでも可能だ。例えばパウエルFRB議長の解任や、言うことを聞かない指導者がいる州を連邦から脱退させると提案できる。または米中が貿易摩擦の真っ最中である点を踏まえ、中国が保有する1兆1000億ドル相当の米国債の元利払いをなぜ続ける必要があるのかと脅すという手がある。

もっとも貿易戦争は、もしトランプ氏がその中止を宣言した場合、違った答えをもたらすかもしれない。世界が緊迫している局面では、投資家は、流動性があり安全な米国債とドルを買う。たとえ緊迫化の原因が米国にあるとしてもだ。逆に貿易環境が正常化し、世界情勢が落ち着けば、ドルもまた下落してもおかしくない。

●背景となるニュース

*米財務省は5日、中国を為替操作国に認定した。これに先立ち、人民元は10年余りぶりに1ドル=7元を超える元安になった。

*米財務省の声明によると、ムニューシン財務長官は今後、国際通貨基金(IMF)と協力して「中国の直近の行動が生み出した不公平な競争上の優位」を取り除く。

*トランプ大統領は7日、FRBが「あまりに急速かつ大幅に金融引き締めに動くという間違い」を犯したと述べ、「より大幅で急速な」利下げを要求した。

*米国家経済会議のカドロー委員長は7月26日、CNBCに対して、トランプ政権は直接的な為替介入をずっと否定してきていると語った。

*民主党の大統領候補指名を目指すエリザベス・ウォーレン上院議員は6月4日、輸出促進のためにドルをより積極的に管理することを提案した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below