[ドバイ/ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、イランが米軍の無人偵察機を撃墜したことについて「誤射」によるものとの見方を示した上で、有人飛行機が撃墜されていたら状況は大きく違っていたと発言した。
トランプ氏は記者団に対し、イランの行動は容認できないとする一方、「おそらく間違いをやらかしたのだと思う。将校か誰かが誤ってドローンを撃ち落してしまったのだろう」とした上で「ドローンには誰も乗っていなかった。(もし誰かが乗っていたら)状況は大分違っていたと言っておきたい」と語った。「正直なところイランが意図的にやったとは到底思えない」とも明かした。
先週、オマーン沖で石油タンカー2隻が攻撃を受けて以降、イランと米国の軍事対立を巡る懸念が高まっている。攻撃に関して米政府はイランを非難しているが、イランは関与を否定している。
今回撃墜されたのは米海軍の「MQ-4Cトライトン」。イランの精鋭部隊であるイスラム革命防衛隊(IRGC)は、無人偵察機が南部ホルモズガン州の「イラン領空に入った際」に撃墜したと明かした上で「ドローン撃墜は米国への明らかなメッセージだ」と述べた。
これに対し米軍は、無人偵察機が攻撃を受けた際、ホルムズ海峡上の国際空域を高い高度で飛行していたと指摘。これは最も近いイランの沿岸から約34キロ離れた地点だったとし、無人偵察機は「飛行中はいかなるときも」イランの領空を侵犯していなかったと反論した。また米当局者も偵察機の残骸は公海上にあると明言した。
米国側のこうした発言について、イランのザリフ外相は米国がうそをついていると主張。「米国はイランに対し経済テロリズムを敢行し、秘密工作を実施してきたが、今やイランの国土を侵害し始めた。イランは戦争を望んでいないが、領空、領土、領海を断固として守る。イランはこうした侵略行為について国連に訴え、米国が公海についてうそをついていることを明らかにする」とした。
イランのタスニム通信によると、イラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は「われわれの領空はレッドライン(越えてはならない一線)であり、イランはその領空を侵犯する国に対しこれまでも、これからも強力に対抗する」と強調した。
米民主党のペロシ下院院内総務は20日、米国はイランとの緊張を緩和すべきだと訴えた。
ホワイトハウスではこの日、イランによる米軍の無人機撃墜を受け、議会指導部への状況説明が行われた。
ペロシ氏は声明で、引き続き同盟国と十分な連携を取り、緊張緩和に向け最善を尽くすことが重要との認識を示した。
「これは危険で過度に緊張した状況で、無謀ではなく、強力で賢明かつ戦略的なアプローチが必要だ」と付け加えた。
民主党のシューマー上院院内総務は、トランプ大統領がイランとの戦争に誤って足を踏み入れる可能性を懸念していると述べ、軍事行動を開始する前に財源に関するオープンな議論と議会の判断が必要だと指摘した。
シューマー氏は、記者団に対し「こうした対立はエスカレートする傾向があると大統領に伝えた。大統領は戦争するつもりはないかもしれないが、われわれは大統領と政権が誤って戦争する可能性を懸念している」と述べた。
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