May 25, 2018 / 3:58 AM / 5 months ago

焦点:「交渉名人」に傷、米朝会談中止でトランプ氏の立場も後退

[ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米大統領は昨年9月の国連総会における演説で、米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると発言し、満座は息をのんだ。

それから8カ月を経て、今度は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を非核化交渉の席に着かせる新たな外交アプローチを編み出したのだから、自身がノーベル平和賞を受けるべきだと「だれもが」考えているとまで言い切った。

ところが今、6月12日に予定されていた米朝首脳会談は中止され、トランプ氏と北朝鮮の駆け引きにはひとまず幕が下りた。同氏がのどから手が出るほど欲しかった外交における勝利は、その手からするりとこぼれ落ちてしまった。

22日の韓国の文在寅大統領との会談でトランプ氏は、米朝会談は世界にとって素晴らしいものになり、たとえ6月の予定が流れても将来実現できると強い期待を表明していた。しかし北朝鮮の姿勢が急激に硬化したため、実業界で交渉名人としてならしたトランプ氏としても渋々ながら会談を見送るしかなくなったのだ。

トランプ氏は金氏への書簡を公表した後、会談中止は北朝鮮と世界にとって後退だと残念がった。ただしそれは自身の政治的な立場の後退でもあった。

米国はイラン核合意離脱決定や鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税導入で国際社会の物議を醸してきただけに、もし米朝首脳会談が成功していれば、トランプ氏とその支持者らは世界のために貢献したと胸を張れるはずだった。

ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ウィリアム・ガルストン氏は「首脳会談が行われて相当な成果を生み出していたなら、(トランプ氏にとって)目を見張るほどの業績になっただろう」と述べた。

実際にはトランプ氏は少なくとも当面は、北朝鮮の核の脅威を適切に対処してこなかったと繰り返し彼が批判してきた歴代政権と同じ境遇に置かれる。

今後トランプ政権は外交で積極策を取りにくくなる。これまで北朝鮮の非核化を最優先課題の1つに挙げていたからだ。さらに会談中止で、トランプ氏の国内の政治基盤強化を図れたかもしれないチャンスも失われた。

2016年の大統領選におけるロシアの干渉疑惑が特別検察官の捜査対象となっているが、最近のいくつかの世論調査でトランプ氏の支持率は上向いていた。そして人気上昇要因の1つが対北朝鮮政策だった。

首脳会談中止でトランプ氏が政治的な打撃を被ったとまで明言するのはまだ早い。むしろ政治コンサルタントのホイット・エアーズ氏は首脳会談が成果なく終わった場合はもっとひどいことになったと指摘。「実りのない首脳会談を開催するよりも中止する方がましだ」と話した。

それでもトランプ氏には、米大統領として初めて金氏に会うことに同意して米国が持つ外交カードを1枚手放しながら、結局北朝鮮に核戦力を保持させたままでほとんど得るところがなかった、という批判がつきまとっている。

(Jeff Mason記者)

 5月24日、北朝鮮の姿勢が急激に硬化し、実業界で交渉名人としてならしたトランプ氏(写真)は渋々ながら米朝首脳会談を見送るしかなくなった。ワシントンで4月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

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