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トランプ大統領、パリ協定離脱を発表 同盟国や米経済界に波紋

[ワシントン 1日 ロイター] - トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると発表した。残留を求めていた同盟国や米経済界首脳らの間には波紋が広がっている。

離脱は選挙公約通り。トランプ大統領はホワイトハウスで「米国は(パリ協定から)離脱する」と表明。同協定は同国の経済と雇用に打撃を与えると主張し、離脱は「米国の主権を改めて主張する」意味合いがあるとして「米国第一主義」を強調した。

大統領はさらに、「米国にパリ協定への残留を求めている国々は厳しい貿易慣行により米国に総額数兆ドルの負担を強いている。多くの場合、米国との軍事同盟への寄与が不十分だ」と述べた。

ただ、米政府が同協定への再参加、もしくは米国民と米企業にとってより公平な新たな条件について交渉を開始することも明らかにした。

米国の同盟国は遺憾の意を表明。フランス、ドイツ、イタリアの首脳は連名で声明を出し、協定は再交渉できないとした。

トランプ氏はまた、発展途上国による気候変動の影響への対策を支援する多国間の「緑の気候基金」への拠出を停止すると述べた。

パリ協定は2015年12月に米国を含む195カ国が合意。オバマ前米政権は2025年までに地球温暖化ガスの排出量を05年比で26─28%減らすと表明していた。

 6月1日、トランプ米大統領は米国は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

米国の離脱により、世界でパリ協定に参加していないのはシリア、ニカラグア、米国のみとなる。米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで世界第2位で、世界の排出量の15%以上を占めるため、離脱の影響は大きいとみられる。

国連のグテレス事務総長の報道官は、米国の離脱に「大いに失望した」と表明。国連によると、1カ国の要請に基づくパリ協定の再交渉はできない。

中国と欧州連合(EU)の首脳は2日に会談を開き、パリ協定への強い支持を表明する見込み。

オバマ前大統領は声明を出し、パリ協定に残留する諸国こそが雇用や関連産業の創出を通じて恩恵を受ける立場にあると強調。米政権が離脱しても「国内の各州や都市および企業が、次世代のために1つしかない地球を守る取り組みを強化し、道を開く一層の努力をすると確信している」とした。

米経済界では、電気自動車大手テスラTSLA.Oのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がパリ協定離脱を受けて大統領の助言機関のメンバーを辞任すると発表。

ゴールドマン・サックス・グループGS.Nのロイド・ブランクファインCEOは「きょうの決定は地球環境にとって、米国の世界における指導的立場にとって後退を意味する」とツイートした。

ゼネラル・エレクトリック (GE)GE.N のジェフ・イメルトCEOは遺憾だとコメントし、「気候変動は現実に起きている。産業界は主導的役割を果たすべきで、政府に依存してはならない」とした。

政界では民主党が離脱を激しく非難する一方、与党共和党の議会指導部は大統領の決定を支持。マコネル上院院内総務は「オバマ政権でダメージを受けた国内のエネルギー生産や雇用の現状打破に再び結果を出した」と高く評価した。

ホワイトハウスは、パリ協定からの離脱にあたっては国連のルールを順守すると表明。ルールでは、協定参加国が正式な離脱に動けるのは、協定が法的拘束力を持った2016年11月4日から3年が経過した後となる。

*情報を追加しました。

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