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焦点:トランプ大統領の保護主義が先鋭化、失地回復は為替政策か
2017年3月31日 / 10:03 / 8ヶ月後

焦点:トランプ大統領の保護主義が先鋭化、失地回復は為替政策か

[東京 31日 ロイター] - トランプ米大統領が、保護主義政策を先鋭化しつつある。医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の断念、メキシコ国境の壁の建設先送り、財源確保がままならないインフラ投資や減税政策など、公約実現の「壁」に直面。なかなか「得点」できない状況を通商政策や為替政策で「突破」しようと試みているとの指摘が市場で広がった。日本もその矢面に立ちそうで、東京市場関係者にも緊張感が走り出した。

 3月31日、トランプ米大統領が、保護主義政策を先鋭化しつつある。写真は24日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

<為替操作国認定の要件変更も>

米財務省が半年に1度公表する為替報告書。次回は、4月半ばに予定されている。

監視リスト国に認定される要件として、1)対米貿易黒字が200億ドル超、2)経常収支黒字がGDP比3%、3)執拗(persistent)かつ一方的な(one-sided)為替介入による外貨購入がGDPの2%超──と3項目を明記。その全てを満たせば為替操作国とみなされる。

これらの要件の根拠法は「米貿易促進強化法2015」だが、米国には貿易相手国を為替操作国と認定しやすいように柔軟に運用する裁量がある。

前回2016年10月14日の報告書では、1)の該当国が中国、1)と2)の該当国が日本、ドイツ、韓国、2)、3)の該当国が台湾とスイスだった。

米政権は「オバマケア廃案の挫折の反動で、通商面で強面(こわもて)になっている。米為替報告書前の来週というタイミングでセットされた米中首脳会談を控え、米中では既に駆け引きが始まっているようだ」とマーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表、亀井幸一郎氏はみる。

CNBCは30日、トランプ政権が「通貨が過小評価されていると考える国を罰するため、権限の範囲を調べている」と報道。為替市場ではドルが一時弱含む場面もみられた。

これに対し、中国の鄭沢光・外務次官は31日、中国は輸出促進に向けた通貨安政策は取らないとしたほか、対米貿易黒字を目指してはいないと強調した。

<先鋭化する保護主義>

トランプ大統領の経済政策の目玉「インフラ投資」と「減税」は、財源の十分な裏付けがなければ、「掛け声倒れ」になりかねない。

さらに重要政策の1つである国境調整税は、米輸入企業に不人気。国境税からの歳入見込み1兆ドルは、実際には小規模に留まり、法人税減税(35%から20%)の原資が確保できなくなる蓋然(がいぜん)性も高まっている。

こうした中で、米政府が動き出した。米商務省は30日、鉄鋼製品を廉売している日本や韓国、台湾など8カ国に反ダンピング(不当廉売)関税適用の方針を決定。

トランプ大統領は31日、貿易赤字の縮小に向けた政策実施の為の大統領制に署名する。同大統領令は、商務省と通商代表部(USTR)に「不公正な貿易慣行」や「為替相場の不均衡が貿易に及ぼす影響」の調査を指示し、具体的な対抗措置の検討に入る。

調査結果は90日以内にトランプ大統領に提出する方針としている。

三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は、コアの支持層に対しても、一般国民に対しても「きちんと仕事をしているというフリをするのに、効果絶大なのは為替政策だ。もちろん通商政策との合わせ技であるべきだが、資金が不要でインパクトが大きく、公約の有言実行を取り繕うのに有効だ」と指摘する。

<日米経済対話にも警戒>

4月18日に都内で開催予定の日米経済対話の初会合に、米国のロス商務長官がペンス副大統領とともに出席する方向となっている。

同対話は、為替や自動車などで日本批判を展開したトランプ政権に対応するため、米国経済にプラスとなる経済協力を幅広く日米で議論する場を作り、対日批判を和らげるという狙いもあって、日本側から持ちかけたという経緯がある。

だが、ここにきて風向きの変化を指摘する声が、徐々に広がり出している。

「過去をさかのぼっても、為替政策において譲歩が得やすい国は、中国ではなく日本だ。結果が得やすい4月の各種イベントを通じ、日本がそのやり玉に挙がる可能性が高いように思われる」と三井住友銀行の宇野氏は予想する。

経済対話は「基本的に2国間FTA(自由貿易協定)を目指すという流れになりそうだ。トランプ政権は為替条項を入れたいという意向を示しており、日本をひな形にしてほかの国ともFTAを締結していく考えがあり得る」と、シティグループ証券、チーフFXストラテジスト、高島修氏はみている。

森佳子 編集:田巻一彦

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