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コラム:株高自慢するトランプ大統領の「不都合な真実」
December 1, 2017 / 5:32 AM / 15 days ago

コラム:株高自慢するトランプ大統領の「不都合な真実」

Rob Cox

 11月30日、トランプ米大統領(写真)は、自らの政治的な手腕と株式市場の値上がりを結び付けているという点で、歴代のどの大統領とも異なっている。ワシントンで1月撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ムンバイ 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は、自らの政治的な手腕と株式市場の値上がりを結び付けているという点で、歴代のどの大統領とも異なっている。

トランプ氏は常々国内外で、昨年の大統領選以降の株高こそ自身が掲げている企業寄りの政策と全般的な経済のかじ取りの正しさの表れだとアピールを欠かさない。

しかし同氏が触れないのは、世界中のほとんどの株式市場がドルベースで米国をアウトパフォームしているという事実であり、それが米国の有権者にとって重大な意味を持つ。

トランプ氏が大統領で民主党候補のヒラリー・クリントン氏に僅差で勝利して以来、S&P総合500種は23%上昇してきた。これは、トランプ氏が最近の中国の習近平国家主席との会談で繰り返していた大統領選以降で約5兆ドルの新しい資産が生まれたという主張を裏付けている。

ムニューシン財務長官はトランプ氏の自慢を一段と強調する形で、議会がトランプ氏が推進する減税案を承認しなければ、これまでの株高が台無しになると警告。米政治専門サイトのポリティコに対して「減税案が成立しなければ、わたしの考えでは株価上昇の大部分が帳消しされるのは疑いない」と語った。トランプ政権の底流には、税制改革をはじめとする自分たちの政策が株価を押し上げてきたという認識が存在するのだ。

ただし理論的には、米国の法人税率が他国の企業に対する投資家の見方を左右するはずはない。それでもイタリアではトランプ氏の当選以後で、FTSE MIB指数の上昇率がS&Pの2倍近くに達している。フィアットクライスラーのように欧米をまたいで事業を展開する企業に米経済の堅調が追い風となるとしても、イタリア株の上昇は同国と欧州の景気持ち直しの結果という側面の方が強い。

そうした理屈ならドイツのDAX30指数が11月末から34%、フランスのCAC40指数と欧州STOXX50指数がそれぞれ29%程度上がったのも説明がつく。より幅広い銘柄で構成するSTOXX欧州600指数でさえ、米大統領選以降で米国の同種の指数よりも上昇率が1%ポイント高い。トランプ氏が大統領に就任した1月から比べると、その差はもっと広がる。

これは欧州に限った話ではない。トランプ氏は11月に韓国の国会で「米国はある種の奇跡を成し遂げようとしており、株価は過去最高値圏にある」と満足感を表明した。だが韓国株の総合指数の上昇率は、大統領選以降と今年11月までの1年の双方で、S&Pとダウ工業株30種をしのいでいる。核・ミサイル開発を巡る米国と北朝鮮の緊張が高まっていることを考えると、驚かされる展開だ。

もっとも香港株もドル建てではトランプ氏の勝利以降で29%上がっているし、インドのニフティ500指数の上昇率は米国株よりわずかに高い。インドの場合でも、株高の理由は米国の法人税率が35%から20%に下がるとの見通しではなく、モディ政権の経済改革とインドの経済成長に対する楽観ムードだろう。

実際、世界経済が力強く、しかも金融危機以降で初めて全域的に成長を続けているとの見方が、株式以外の資産価格も引き上げている。建設や製造業などに使われて需要が景気に敏感な銅は、トランプ氏の勝利から29%上がり、S&Pの上昇率にまさっている。原油の上昇率は約37%ともっと高い。

もちろんすべての地域の株価が米国より大幅な値上がりをしたわけではない。米大統領選以降の東証株価指数の上昇率はS&Pとどっこいどっこいだし、カナダ株は13%、英FTSE100指数は17%にとどまった。ロシアのMICEX指数の上昇率も19%とS&Pに届いていない。

目ぼしい資産で米国株に負けているのはあと1つしかない。

それはドルで、主要通貨に対するドル指数は8%下落している。トランプ氏が胸を張る米国株上昇の裏事情は、もうこの辺で十分解き明かされただろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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