May 13, 2019 / 6:12 AM / 5 days ago

コラム:トランプ関税、経済指標では見えない「真のコスト」

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 関税の真のコストを測るのは、伝統的な経済指標ではなく、「貿易の流れ」になるだろう。

5月10日、関税の真のコストを測るのは、伝統的な経済指標ではなく、「貿易の流れ」になるだろう。写真は2017年11月、北京でビジネス関係者の会合に出席するトランプ米大統領(左)と習近平国家主席(2019年 ロイター/Damir Sagolj)

米政府は10日、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を引き上げた。米中双方とも、国内総生産(GDP)へのマイナス影響はわずかに止まる可能性があり、打撃を乗り越えることができると主張している。だが、サプライチェーンの変化は、より長期に渡る損失の規模を示すころになるだろう。

トランプ米大統領は、それまでの「脅し」を実行に移した。幅広い物品の関税率を10%から25%に引き上げ、昨年からエスカレートしてきた米中貿易戦争の緊張を劇的に高めた。ロイターは、中国側がそれまでの合意事項の多くを撤回したとする米政府当局者の発言を報じている。経済を巡って良いニュースが続いたことで、相手に要求を飲ませようとプレッシャーをかけても大丈夫、との自信が両国ともにあったようだ。

今後の関心は、経済成長への影響、特に、成長が安定局面に入った中国への影響に移る。

コンサルティング会社オックスフォード・エコノミクスは、今回の関税引き上げにより、中国の今年の成長率が0.3ポイント押し下げられると予測する。もしトランプ大統領が警告通り、残る全ての中国製品への関税を引き上げれば、その影響は今年が最大0.5ポイント、2020年は1ポイントにまで拡大する恐れがある。

しかし、GDPは貿易戦争の損害を測るには誤解を招きやすい指標だ。

そもそも、直接のコストはこれまでのところわずかなものにとどまる。昨年の打撃の応酬にも関わらず、両国経済ともまずまず好調だ。ある最近の分析は、国内生産者へのテコ入れ効果と関税引き上げによる収入増を差し引いた昨年のトランプ貿易摩擦の正味の損失について、米GDPの0.04%程度だったと推計している。さらに、影響を緩和するため、政府はいつでも金融政策や財政手段をあてにすることができる。

これは、痛みが大きくないことを意味する訳ではない。

本当に痛みが出てくるのは、サプライチェーンだろう。企業の経営陣は、多額のコストをかけた工場や投資が、(大統領の)署名一つで誤った場所に置かれるリスクに直面している。

企業は、すでに目の前にある、あるいは予見される脅威への対応を始めている。ある調査によると、昨年の関税により、すでに年約1650億ドル相当の貿易の流れが変わった。その一方で、東南アジアのような貿易依存度が高い地域は、短期的には一部セクターで恩恵を受けつつも、それがどれぐらい続くか分からないという、板挟み状態にある。

GDPは回復できる。だが、サプライチェーンの見直しはコストがかかる。たとえ米中が合意したとしても、それは継続する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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