June 12, 2018 / 2:37 AM / 6 months ago

コラム:外国企業を「再び偉大に」するトランプ貿易政策

[ワシントン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「米国を再び偉大にする」と繰り返してきたトランプ大統領だが、自身が進める貿易政策で、むしろ外国企業を再び偉大にしつつある。

 6月11日、「米国を再び偉大にする」と繰り返してきたトランプ大統領(写真)だが、自身が進める貿易政策で、むしろ外国企業を再び偉大にしつつある。2月、ホワイトハウスで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

カナダのシャルルボワで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)でいったん首脳宣言採択にこぎ着けて何とか演出した融和ムードは、トランプ氏が打ち出した鉄鋼輸入制限があだとなって、結局は雲散霧消し、米国のナバロ通商製造政策局長が議長国カナダのトルドー首相を強く批判した。

ただこの鉄鋼輸入制限が招く各国の対抗措置は、米企業にとってコスト上昇につながるので、外国のライバル企業が得をすることになる。

トランプ氏を激怒させたのは、同氏がG7サミットを途中退席した後に、トルドー氏がカナダは米国の言いなりにならないなどと発言したことだった。この発言を受けてトランプ氏は、先に合意した保護主義批判が盛り込まれた首脳宣言を承認しないと表明。その後にナバロ氏がトルドー氏の姿勢を責めて「ひどい目に合う」と言い放った。

米国の鉄鋼・アルミニウム業界は、5月末からは欧州連合(EU)とカナダ、メキシコに適用が拡大された輸入制限を大歓迎しており、USスチール(X.N)は800人の追加雇用方針を発表した。

しかし米国企業全体として考えると、輸入制限の収支はマイナスになる。トレード・パートナーシップの調査では、鉄鋼・アルミ業界で1人雇用が増えるごとに、16人分の雇用が失われる。原材料コストの上昇は、キャンベル・スープ(CPB.N)などの企業に打撃を与える。同時に中国とEU,カナダ、メキシコは、米国製品に関して鉄鋼・アルミに加えて農産物や食品、オートバイのハーレーダビッドソン(HOG.N)なども報復の対象に選んでいる。

こうした流れで、中国のCOFCOのような新興国の農業関連企業が追い風を受けるだろう。COFCOの場合、ブラジル向け大豆輸出は第3位の規模となっており、主な競争相手は米国勢だ。中国は米国産大豆の最大の買い手でもある。2016年第3・四半期には米国産大豆の輸出が急増し、国内総生産(GDP)成長率を押し上げたケースがあった。

インドの鉄鋼大手JSWスチール(JSTL.NS)も、国内外で最大限の恩恵に浴してもおかしくない。同社は米国産鉄鋼製品の需要拡大を見込んで、テキサス州にある工場の生産量を3倍にする計画。一方、各国の報復措置に伴って米国産鉄鋼製品の代わりを探す動きは、インド国内の生産にプラスとなる可能性がある。

メキシコと中国が米国産豚肉製品の輸入制限を検討していることは、欧州最大の豚肉企業ダニッシュ・クラウンの事業を後押しする。同社は既に2月、中国で販売拡大につながる契約に調印した。一方メキシコの現在の豚肉輸入の大半は米国産だ。

米国の鉄鋼輸入制限は中国に痛手を与える狙いがあった。ところが国別の米国向け鉄鋼輸出において中国は第10位にとどまり、それほど大きな悪影響は生じない。もっと苦しむのは米国の同盟諸国だろう。だが最大の敗者は米企業、という事態が起こり得る。

●背景となるニュース

・トランプ米大統領は11日、ツイッターに「公正な貿易は、それが互恵的でないなら、愚かな貿易と呼ぶべきだ」と投稿し、それに先立って米国がいったん合意したG7サミットの首脳宣言の承認を撤回する方針を示した。議長国カナダのトルドー首相の発言にだまされたことを理由に挙げた。

・G7サミットでトランプ氏が途中退席した後、トルドー氏はカナダが米国の鉄鋼・アルミ輸入制限に対する報復関税を課すと述べた。米国のナバロ通商製造政策局長は10日のFOXニュースのインタビューで、こうしたトルドー氏の姿勢を裏切り行為と断じ、「ひどい目にあう」と語った。

・カナダ、EU、メキシコは、米国産のバーボンや豚肉、チーズ、オートバイのハーレーダビッドソンなども報復措置の対象にすると表明している。中国は4月、米国への対抗策を打ち出した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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