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トランプ次期米大統領が当選後初会見:識者はこうみる
2017年1月12日 / 01:41 / 1年前

トランプ次期米大統領が当選後初会見:識者はこうみる

[東京 12日 ロイター] - トランプ次期米大統領は、当選後初となる記者会見を開き、海外移転企業に対しては重い国境税を課す方針や薬価改革などを表明した。

しかし、具体的な経済成長促進策を示さなかったため、11日のニューヨーク市場ではドル強気筋の失望売りが広がり、対円で一時114円台までドル安/円高が進む場面があった。市場関係者のコメントは以下の通り。

<JPモルガン・アセット・マネジメント株式運用部ポートフォリオ・マネジャー 内田正樹氏>

トランプ氏の会見で財政出動や減税などマーケットが期待する政策内容についての発言がなかったことで、ドル/円が一時114円台前半まで円高に進行した。だが、その後は115円台前半まで持ち直していることから、市場の反応は失望までは至っていないのだろう。

会見はロシアに関連した質疑応答も多く、内容の全てを消化しきれていないといった印象だ。貿易不均衡について日本が批判されたことは不安材料で、今後も次期大統領のツイッターなどでの発言について注意が必要だ。市場の関心は1月20日の同氏の大統領就任式での演説に移っている。経済政策に関する踏み込んだ発言を待つ様子見の相場展開となろう。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ氏はトランプ氏のままだった。昨年11月以降、次期米政権の財政刺激策のもとでインフレと利上げが期待されたトレードが続いていたが、これは現職大統領ともなれば過激な保護主義政策を改めて「大人の対応」を心掛けるのではないかという見方がベースにあったからだ。

ただ、今回の会見は、今後の通商摩擦を予感させる部分が多かった。対米貿易黒字の大きな国として中国、メキシコに並んで日本も名指しされており、おそらく今後はドイツも槍玉に挙がってくるはずだ。今後、対米貿易黒字の大きな国から順に糾弾するような政策運営が行われる可能性がある。日本とは経済を重視した現実的な関係が築けるかと思われていたが、昨日の会見を見る限り、やや不安に思う部分もあった。

会見前は、ドルへの言及がなければドル高容認と受け止められてドル高になるとの解説が多かったが、実際は保護主義が前面に押し出された会見であり、ドル売り/円買いで反応したのは当然だろう。会見中からうかがえたトランプ次期大統領の政策スタンスを踏まえる限り、やはり今後の円安を予想するのは勇気がいる。

<SMBC日興証券 為替・外債ストラテジスト 野地慎氏>

 1月12日、トランプ次期米大統領は、当選後初となる記者会見を開き、海外移転企業に対しては重い国境税を課す方針や薬価改革などを表明した。11日記者会見場のトランプタワーで撮影(2017年 ロイター/Lucas Jackson)

トランプ氏は、ここ数週間の自らの対企業バイラテラル交渉の成果を挙げ、国境税の導入を強く示唆するなど、自らを支持した中間層のための政策を重要視するスタンスを強調した。これまで一貫している富裕層優遇政策のみではないということを明らかにした。

ただし、企業のマージンを犠牲にしかねない点や、輸入企業のデメリットなどを考えれば、先に上げた「国境税」の法制化のハードルは高く、他方、恫喝とも捉えられかねないバイラテラル交渉にも限界がある。

結果的にいずれ、通貨政策、つまりドル安政策の重要性が議論される可能性が高いとみている。

トランプ氏は会見で、対米貿易黒字を抱える中国、日本、メキシコを名指しにしたが、中国ほどではないものの、巨額の経常黒字を抱える日本の円が増価すべきとの考えは理にかなうものであり、今回の発言で日本が取り上げられたことを軽視すべきではないだろう。

さすがに20日の就任早々に日本が槍玉にあがることはなさそうだが、今後、米企業業績の悪化、貿易赤字の拡大、その他の経済指標の伸び悩みなど、トランプ新大統領に逆風が吹き始める局面では、対日批判が強まる可能性があるだろう。

当面はドル/円の急落を心配する必要はないと思われるが、ダブルトップとなった日足チャートは引き続き調整を示唆しており、110円近辺が短期的な下値メドになるとみている。

<大和証券・チーフエコノミスト 永井靖敏氏>

トランプ次期米大統領の会見内容に意外感がなかった。市場には、経済・財政政策への具体的な言及を期待する声もあったが、米大統領就任前のタイミングで戦略を練り切れていないのだろう。新政権の閣僚人事が取り沙汰される中で、安全運転に徹した印象だ。

トランプ次期米大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げて、景気重視の姿勢を打ち出している。会見では「メキシコとの壁」や「中国・日本・メキシコとの巨額の貿易赤字」に触れた。シンボリックな内容に言及することで、政策を強調したかったのだろう。

大統領就任式後に一般教書演説がある。市場は政策の実現性を見極める展開が続くだろう。朝方は円債市場は、外部環境からの追い風を受けていったん買われているが、上値は限定的だろう。

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