May 21, 2018 / 7:05 AM / a month ago

焦点:トルコとアルゼンチン、なぜ新興国売りの中心なのか

[ロンドン 18日 ロイター] - 最近の新興国売りの原因は政治の混乱や高水準の対外赤字、高インフレなどにあるとエコノミストは安易に結論付ける。しかし新興国は水面下で他にも多くの問題を抱えており、外貨準備や通貨リスクをみるとトルコとアルゼンチンのもろさが際立っていることが分かる。

 5月18日、最近の新興国売りの原因は政治の混乱や高水準の対外赤字、高インフレなどにあるとエコノミストは安易に結論付ける。しかし新興国は水面下で他にも多くの問題を抱えており、外貨準備や通貨リスクをみるとトルコとアルゼンチンのもろさが際立っていることが分かる。写真はトルコのリラ紙幣。イスタンブールで昨年10月撮影(2018年 ロイター/Murad Sezer/Illustration)

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)の分析によると、トルコの外貨準備高は今年償還期限を迎える債務に対する比率が既に90%を割り込んでおり、新規の借り入れ手段や外貨準備の積み増しがなければデフォルト(債務不履行)となる水準だ。

アルゼンチンも3月以降、ペソ急落を食い止めるために80億ドルの外貨を売却しており、債務に対する外貨準備の比率はトルコの数字に近づきつつある。

マレーシアとウクライナの数字も良くないが、デフォルトを免れる最低基準の100%は超えている。

BAMLのデービッド・ホーナー氏は「外貨準備はトルコ以外は大丈夫だというのが結論だ」と述べた上で、売り圧力にさらされている新興国にとっては資本フローが極めて重要だと付け加えた。

一方、国際金融協会(IIF)の資金動向調査からは、新興国の銀行の通貨リスクの高まりが読み取れる。ほとんどの新興国では近年、銀行システムが大幅に強化されたものの、いくつか例外の地域があり、そこではドル建て債務がデフォルトに陥ると危機につながりかねない。

IIFのデータによると、アルゼンチンの銀行はいわゆるネットオープンポジションが14%と高く、実質的にドル預金でドル建て借り入れが十分にカバーされていない。インドもこの比率が8%もある。ただトルコの銀行は、ヘッジが広まっているおかげで1%未満にとどまっている。

IIFの資本市場部門の副ディレクター、エムレ・ティフティク氏は「ネットオープンポジションが高いと、通貨のミスマッチが大きい可能性がある」と話す。

IIFは銀行の預貸率にも着目している。トルコや南アフリカ、チリ、メキシコ、コロンビアのように預貸率が100%を超えるとローン市場が重大な機能不全に陥った場合に危機に見舞わる恐れがある。

このほか、世界的な超低金利で新興国のドル建て債務が過去最高の3兆7000億ドルに膨らんだことも新興国を圧迫している要因だ。国際決済銀行(BIS)のまとめによると、中国企業のドル建て債務は総額5300億ドルに上っており、次いでメキシコが2650億ドルとなっている。

トルコとアルゼンチンはこの面でもそれぞれ約2000億ドル、1500億ドルと負債額が大きい。

オックスフォード・エコノミクスの推計によると、10年物米国債の利回りが100ベーシスポイント(bp)上昇するとメキシコ、インドネシア、トルコの借り入れコストは同程度上昇する。トルコとチリの債務返済コスト増は年間国内総生産(GDP)の0.2%に相当し、マレーシアでも0.3%相当となる。

(Marc Jones記者)

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