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トルコリラ25%急騰、大統領が通貨安から預金保護表明

[アンカラ 20日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領が20日、低金利政策の継続を確約する一方、通貨安による国民の負担軽減につながるとする一連の措置を発表したことで、通貨リラが急上昇した。

 12月20日、トルコのエルドアン大統領が、低金利政策の継続を確約する一方、通貨安による国民の負担軽減につながるとする一連の措置を発表したことで、通貨リラが急上昇した。写真はイスタンブールの証券取引所。2011年2月撮影(2021年 ロイター/Murad Sezer)

リラは一時、1ドル=18.4リラと10%を超えて下落していたが、エルドアン大統領の発表を受け25%高の13.15リラで取引を終えた。年初来では、なお45%下落している。

トルコ銀行協会によると、発表後に市場で10億ドルが売られたという。

スコシアバンクのFXストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「市場ではリラの売り持ちが非常に大きくなっていたと思われる。エルドアン氏が国内投資家の貯蓄をリラの変動から守る措置を発表したことで、一定の買い戻しが入った」と指摘した。

エルドアン大統領は閣議後、預金保証などの措置によって、国民はリラ安を念頭にリラを外貨に交換する必要がなくなると表明。「預金の価値を評価する際に為替レートの上昇による懸念を軽減したい国民のために新しい金融の選択肢を提示する」と述べた。

また「金利引き下げにより、数カ月以内にインフレ率の低下が見られるだろう」とし、「この国はもはや高金利で財を増やす者の天国ではなくなる。輸入天国ではなくなる」と主張。

資金を持つ国民に対し投資に貢献するよう求めるとともに、輸出業者や年金生活者への支援措置も約束した。

FX決済会社・テンパスの取引担当バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「きょうの(リラの)動きは、為替変動からの保護に関するトルコ政府の発表がもっぱら材料になった」と指摘。「最も重要な要素は、銀行が約束した金利よりリラの下落が大きくなった場合に政府がリラ建て預金の損失を補填する方針を示したことだ。具体的にどうやって計画を実行するかは明らかにしなかった」と述べた。

OANDAのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤは「利下げが続くようなら今後も高いボラティリティーが予想され、多くの投資家はきょうのリラ急上昇にもかかわらず、引き続き新たな安値更新を視野に入れるだろう」と述べた。

エコノミストは、エルドアン大統領の低金利政策は無謀とし、来年のインフレ率が30%を超えるとみている。

スイスクオート銀行のシニアアナリスト、イペク・オズカルデスカヤ氏は一連の措置について、通常の市場慣行から大きくかけ離れているとし、「トルコはもはやルール通りに行動しておらず、複雑なプロセスに入るだろう」と述べた。

IHSマークイットによると、トルコの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は39ベーシスポイント(bp)上昇し、622bpとなった。

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