[アンカラ 23日 ロイター] - トルコでは大地震の影響で物価上昇率が6月に予定される大統領・議会選挙まで40%を超える伸びが続き、追加の予算手当ても必要になる――。ある政府高官と4人のエコノミストがこうした見方を示した。
彼らの見立てでは、地震がトルコ経済に与えた被害額は500億ドル以上。食品や住宅を含めたモノとサービスの価格高騰のため、今後数カ月で想定される物価上昇率の減速度合いは地震前の予想よりずっと小さくなるという。
トルコの物価上昇率は昨年10月に85%強と24年ぶりの高い伸びを記録した。これはエルドアン大統領が中央銀行に求めた正統的な理論に反する金融政策運営が原因だった。
今年1月には物価上昇率が58%まで鈍化し、地震前には6月までに35―40%前後に下振れると見込まれていた。ただ4人のエコノミストによると、地震発生を受けて6月時点の物価上昇率は42-46%になるという。
政府高官は「地震のために足元の物価上昇率は40―50%の範囲にあるのではないか。生産サイドの混乱と、人々の国内移動に伴って一部地域で住宅価格と家賃が100%近く上昇していることが極めて大きな負の影響をもたらしている」と説明した。
複数のエコノミストの話では、被災地域から脱出した人は推定で200万人を超える。また被災地域は昨年のトルコ農業生産の16%を占めていただけに、食品価格の上昇も加速しそうだ。
こうした被害によってトルコの今年の成長率は1-2ポイント押し下げられる見通し。中銀は23日、経済を支えるために50ベーシスポイント(bp)の利下げを決めた。
地震の影響で、長らくトルコ経済にとっては強みの1つだった財政にも負担がかかるとみられる。2023年予算の下では、差し引きで最大6610億リラ(350億ドル)の政府借り入れが可能となるが、先の高官はこれでは足りなくなると警告。「現在の予算規模で今年を乗り切るのは簡単ではないように見受けられる。追加予算が不可欠になるだろう」と強調した。
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