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焦点:トルコ、中銀総裁と財務相交代で通貨・経済政策の転換なるか

[ロンドン 9日 ロイター] - トルコでは前週末にウイサル中央銀行総裁と、エルドアン大統領の娘婿のアルバイラク財務相が相次いで辞任し、9日の外国為替市場でこれを好感した通貨リラが2年ぶりの高値を記録した。ただそれぞれの後任者がリラの価値を維持し、経済がより深い混乱に陥るのを防ぐためには、従来と違う政策を採用することが不可欠になるだろう。

 11月9日、トルコでは前週末にウイサル中央銀行総裁と、エルドアン大統領の娘婿のアルバイラク財務相が相次いで辞任し、9日の外国為替市場でこれを好感した通貨リラが2年ぶりの高値を記録した。ただそれぞれの後任者がリラの価値を維持し、経済がより深い混乱に陥るのを防ぐためには、従来と違う政策を採用することが不可欠になるだろう。2019年3月、イスタンブールで撮影(2020年 ロイター/Murad Sezer)

投資家は、これまで抑え込まれてきた政策金利が劇的に引き上げられ、待望久しかったリラ安一服につながるような政策転換があると期待している。実際新しい中銀総裁に就任したナジ・アーバル氏は物価安定に狙いを定めると発言。市場には、中銀が19日の会合で200-600ベーシスポイント(bp)の利上げに動くとの見方が織り込まれた。事態は非常に切迫しており、中銀は政策判断に少しのミスも許されない場面だ。

というのもトルコはここ何年かで2度の歴史的な経済の落ち込みに見舞われた形で、リラは2018年半ば以降に約45%下落した。そして前回の通貨危機と異なり、中銀は今年になって1000億ドルを超える外貨準備を費消したとみられ、UBSの分析では現在外貨準備は約360億ドルの不足が生じた。中銀は、外貨準備がマイナスになっているとの見方に直接コメントしていないが、緊迫した局面では当然ながら多少の変動はあると説明している。

UBSの新興国市場戦略責任者マニク・ナライン氏は、こうした中で財務相と中銀総裁が交代したことが希望の光になったのは間違いないと指摘しつつ、今や350bpの利上げが必要だと考えているが、それも結局は応急手当てにすぎないと判明するのではないかと先行きを警戒する。

ナライン氏は、中銀の外貨準備がマイナス化して民間銀行のドル預金を充当している状況に触れて「率直に言ってわれわれは経験したことがない領域に入り込んでいる。この展開の結末がどうなるかは分からない」と不安を口にした。

<鳴り続ける警報>

危機に対する警報はずっと前から鳴り続けている。

リラの急落に加え、ドイツ銀行の試算に基づくと海外の投資家は過去4年間でトルコの債券と株式約1200億ドルを売り越した。さらにトルコの国民や企業がリラ建て資産をドル建てやユーロ建てに転換する動きも強まっている。今や、国内預金の6割超がドル建てだ。もっとも真のリスクは、この資金が銀行から全面的に逃げ出すかどうかにある。

ドイツ銀のクリスチャン・ビートスカ、オリバー・ハーベイ両氏は、まだ大規模流出の兆しは見当たらないとしながらも「ドル預金が海外に送金される現象が出てくれば、特に懸念される」と述べ、積極的な金融引き締めを可及的速やかに実施し、中銀と政府が物価圧力押し下げの強い意思を打ち出すことが求められると強調した。

今年を通じてトルコの物価上昇率は12%近くと、目標の5%近辺を大幅に上回って推移している。アーバル氏は就任後最初の発言で、断固としてあらゆる政策手段を駆使し、物価安定目標を追求していくとの決意を表明した。

<終わらない危機>

18年に起きた前回の危機は、政策金利が一時24%と、物価上昇率を7ポイント前後上回った後で、ようやく収束した。

しかし今回外貨準備は枯渇し、新型コロナウイルスのパンデミックによってトルコ経済は第2・四半期に過去最大級のマイナス成長を記録。1-8月の観光客が前年比75%減少したことが響き、今年の経常赤字は国内総生産(GDP)の4.9%に達する見通しだ。

また中銀のデータは、政府と企業が今後12カ月で計1810億ドルの債務を借り換えなければならないことを示している。ソシエテ・ジェネラルのフェニックス・カレン氏は、これはトルコのGDP7000億ドルの4分の1強に上り、外貨スワップを考慮に入れたグロスベースの外貨準備でも422億ドルしかないと事態の厳しさを描写した。

ビルケント大学のRefet Gurkaynak教授(経済学)は、トルコ当局に様子見する余裕などなく、来週大幅に利上げしなければ、リラにとって大惨事が起きると警告した。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、キーラン・カーティス氏は、トルコが利上げしてもできる限り早期に巻き戻すやり方に戻ってしまえば、あっという間に非常に困難な立場に突き落とされると断言。状況が本当に変わったと判断できるまでには9カ月程度必要で、外界準備復元のため中銀が何らかの形でドル購入に動かないうちは、リラが危機を抜け出したとは思わないと付け加えた。

(Marc Jones記者)

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