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コラム

コラム:ツイッター、マスク氏に「全面降伏」で当初提案受け入れ

[ニューヨーク 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏は、ツイッターがわが身を差し出さざるを得ない環境を見事に作り出した。

4月25日、 米電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏は、ツイッターがわが身を差し出さざるを得ない環境を見事に作り出した。サンフランシスコのツイッター本社で撮影(2022年 ロイター/Carlos Barria)

マスク氏は数日間で買収資金440億ドルを調達した。それだけでなく、新株予約券割り当てによって買収者の株式保有比率を下げる「ポイズンピル(毒薬条項)」を導入して時間稼ぎを狙っていたツイッター側を説き伏せる形で、自らの買収提案を承知させてしまった。

ツイッターの取締役会は、マスク氏の当初の提示額を唯々諾々と受け入れたのだ。

4月上旬、マスク氏がツイッター株9%強の保有を明らかにした際に、同氏はツイッター取締役に名を連ね、持ち分を14.9%以上にしないことにいったん同意した。ところが数日後にはこの取り決めをあっさり反故にした上、すぐにツイッター買収を提案した。この段階ではマスク氏の資金調達計画が見えなかったほか、同氏が2018年に投稿したテスラ非公開化の資金を確保したとのつぶやきが事実と異なっていたこと、またツイッター株が昨年夏にマスク氏の提示額より25%余りも高い水準で推移していたことが重なり、ツイッターの取締役会には同氏の提案を慎重に吟味すべき多くの理由があった。

通常ならここでツイッター側がマスク氏への提示額引き上げを求めるか、他の買い手候補探しに動く、あるいは自立の道こそが企業価値をもっと高くすると主張する展開になる。ただ恐らく、実際に取締役会が行った身売りの手際は非常にまずかったのだろう。図らずも共同創業者で前CEOのジャック・ドーシー氏は取締役会が「一貫して機能不全だった」と投稿した。ツイッターがその高い知名度を生かした対応を取らなかった点を考えれば、ドーシー氏の批判は公正だ。そもそもツイッターからはこれまで明確な戦略というものを見つけ出すのが難しかった。

その間にマスク氏は、モルガン・スタンレーが主導する資金調達計画で買収提案を補強。さらにツイッターの取締役会と大株主は、マスク氏以外に買収を申し出る向きはないと認識したもようだ

BREAKINGVIEWSの分析に基づくと、マスク氏がこの投資で得られるリターン自体は低水準にとどまる公算が大きい。またロイターが取材した関係者によると、ツイッターが別の提案を受け取った様子もない。

それにしても取締役会がこうもあっさりと「全面降伏」したのは何とも興味深い。これはツイッターが28日に発表する四半期決算発表が、期待外れの内容になりそうだという事情も作用したのではないか。もしも業績が堅調なら、提示額引き上げの要求や、独立経営を掲げることに正当性が与えられる。だが今年初め、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズが予想外にさえない広告収入伸び率見通しを発表した後、時価総額のおよそ4分の1が消えてなくなった。直近では契約者数が減少に転じたネットフリックスの株価はもっと下げがきつくなった。ツイッターの身売りは素早く決まったが、単純にマスク氏が他の誰よりもずっと大きな対価を払おうとしているだけのことかもしれない。

●背景となるニュース

*ツイッターは25日、米電気自動車(EV)大手テスラ最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏の買収提案を受け入れ、身売りに同意したと表明した。買収額は1株当たり54.20ドル、総額は440億ドル。提示額は、マスク氏がツイッター株9%強の保有を明らかにする直前の4月1日の終値に38%のプレミアムを乗せた水準だった。

*マスク氏は、買収資金として255億ドルを借り入れる約束を取り付けたほか、約210億ドルのエクイティファイナンスを提供する意向を示した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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