for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:労働争議の新手段になったツイッター、もろ刃の剣にも

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソーシャルメディアは、国を挙げての社会運動を起こす起爆剤になり得る。それは今、白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死事件をきっかけに広がっている「黒人の命は大事」運動や、性的被害を告発した「Me Too」運動を見ればよく分かる。

6月9日、ソーシャルメディアは、国を挙げての社会運動を起こす起爆剤になり得る。写真はツイッターのイメージ画像。2013年9月撮影(2020年 ロイター/Kacper Pempel)

同時にソーシャルメディアは、企業に対して従業員や顧客の苦情にいやでも耳を傾けさせる手段にもなっている。その意味で、ツイッターTWTR.Nなどはかつての労働組合の古き連帯に代わる存在だ。だがこうした力は間違った方向にも使われやすい。

7日には米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)NYT.Nの論説面責任者ジェームズ・ベネット氏が辞任する事態が起きた。フロイドさんの死を受けた人種差別への抗議デモを巡り、軍による鎮圧を提唱した上院議員の寄稿を掲載したためだ。NYTの複数の従業員がツイッターで掲載を批判したほか、「議員の寄稿には内容に誤りがあり、現場で取材している記者らを危険にさらす」と非難する書簡には800人余りが署名した。

不適切な投稿が従業員や支援者の反発を買ったことで、料理雑誌ボナペティ編集長のアダム・ラポポート氏も職を退いた。フィットネスジム会社クロスフィットのグレッグ・グラスマン最高経営責任者(CEO)も謝罪を余儀なくされた。クロスフィットは、グラスマン氏の謝罪もむなしく、直後にスポンサー企業のリーボックなどから関係を解消された。

ツイッターと同じソーシャルメディアのフェイスブックFB.Oでさえ、ザッカーバーグCEOがトランプ大統領の一部投稿について事実確認の警告を表示しなかったとの理由で、従業員によるストライキに見舞われた。

NYTの一件では、労組はもちろん上院議員の寄稿掲載を巡る論争に参入した。ただ、全般に米国で労組の活動は衰退の一途をたどっている。米労働統計局によると1954年には米労働者の3人に1人以上が組合に入っていたが、昨年の加入率は10%強にすぎなかった。

確立された意見表明の場所がない場合でも、ソーシャルメディアは義憤を噴出させる機会や、志がつながった人々が協調する場を提供する。こうした活動は、企業に文化的な偏見がないかの調査をさせたり、より多様な労働者の採用や賃金格差是正、有給病気休暇などの手当の確保を促したりすることができる。これは影響力が強いし、有益だ。

半面、ツイッターやフェイスブックなどは、偽情報の拡散や暴動をあおる手段にも利用されるという欠点を持つ。今よりも労働者の環境がずっとひどかった昔でさえ、労組と経営陣は最終的にはお互いの言い分を聞き分け、基本的な事項に合意するとともに、譲歩を迫られた。現代のソーシャルメディアは仮想の労働争議のツールになったが、旧来のような「安全網」は備わっていない。

●背景となるニュース

*米紙ニューヨーク・タイムズの論説面責任者ジェームズ・ベネット氏が7日辞任した。人種差別への抗議デモ鎮圧に軍の投入を提唱した上院議員の寄稿を掲載したことを巡り、社内や読者から批判が集まったため。

*フェイスブックの従業員は、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がトランプ大統領の投稿について、ツイッターが行った事実確認の警告を見送ったことに抗議してストライキを実施。

*フィットネスクラブ会社クロスフィットのグレッグ・グラスマンCEOは7日、新型コロナウイルスと、白人警官に暴行されて死亡した黒人男性の名前を掛け合わせた無神経な投稿をしたことを謝罪した。複数のジムや、スポンサー企業だったリーボックは、クロスフィットとの関係解消に動いた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up