[東京 28日 ロイター] - 配車・配達サービスアプリ大手の米ウーバーテクノロジーズ[UBER.UL]の日本法人ウーバージャパンの高橋正巳社長は、高齢化や過疎化など日本の社会問題が解決できるようなサービスを今後導入し、「2020年には日本中どこでもウーバーのサービスを利用できるようにしたい」と語った。
ロイターとのインタビューで述べた。
高橋社長は、今は配車サービスが主力だが、20年に世界で主流になるサービスは「変わっているかもしれない」と指摘。同年に国内でどんなサービスを提供できるか未定としつつ、東京五輪が開かれる「20年という日本、東京にとっても大きな1年に、世界中でこれだけ使われているウーバーのサービスが、日本でも同じように使える状況を作っておきたいし、作らないといけない」と意欲を示した。
09年に米国で設立したウーバーは、個人が自家用車で空き時間に乗客を輸送し、乗客はアプリで配車を依頼するサービスが主力。国内でもスタートする飲食店の料理を届ける「ウーバーイーツ」や、同じ方向に向かう乗客がタクシーを相乗りする「ウーバープール」など海外でのサービスは幅広い。現在は世界約70カ国400都市超で展開、アプリは67言語に対応する。
日本では自家用車による乗客の輸送が法律で禁じられ、配車サービスの運用はできない。14年に東京都内で提携会社のハイヤーの配車サービスを開始、現在はタクシーでも展開している。
昨年の乗客の約3割が外国人で、出身国は99カ国。高橋社長は「世界共通のプラットフォームのため、どこでも簡単にすぐ使えるのが強み」と指摘、海外でウーバーを使っている訪日客の利便性を高めたいと話す。
同社は、今年に入り複数の過疎地で配車サービスの実証実験に参加。5月に始まった京都府京丹後市での実験後、多数の地方自治体から相談があり、高橋社長は「今後もどんどん展開していきたい」と話した。
また、本来は個人の好きな時間にドライバーとして働く仕組みのため、「新しいワークスタイルの提案」ができると強調。米国では登録ドライバーの約3割が女性で「女性が活躍できるチャンスも提供できる」と述べた。
個人ドライバーは労働関連法上の保護がないなど課題が多く、タクシー業界からの反発も強い。高橋社長はサービスの価値、顧客の安全性や利便性などを理解してもらうことが重要だとし、各方面との「対話を続けていきたい」とした。
白木真紀、田実直美 編集:田巻一彦
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」