[ロンドン 4日 ロイター] - メイ英首相は14日からの週に、欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を議会採決にかける。否決されれば英国はEUと合意しないまま離脱し、大混乱を引き起こす恐れがある。
首相は昨年12月に採決を予定していたが、否決の見通しとなったため延期した。可決には、与野党双方の反対派を説得する必要がある。
以下に採決の詳細をまとめた。
◎議会勢力
下院の全議席数は650で、与党保守党の議席は過半数に届かない。メイ政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)は離脱案に反対している。
シン・フェイン党の7議員は登院しない慣習で、議長4人は投票せず、票の計算係4人は勘定に入らないため、可決に必要な賛成票は318票となる。
◎日程
離脱案を巡る審議は9日に再開され、今のところ10、11日も審議を続けることが提案されている。中止された12月の審議は5日間が予定されていたため、採決が行われる14日の週も審議は続く見通しだ。
審議最終日に一連の採決が行われる。最初に、政府の動議に対する6つの修正案について採決する。
◎政府の動議とは
動議には(1)議会がメイ首相とEUの離脱合意を承認したとの声明(2)英国とEUの長期的な関係を示す政治宣言──が盛り込まれている。
◎修正案
議員は政府動議への修正案を提出することが可能で、その中から議長が最終日に最多で6件を選び、採決にかける。
可決された修正案は最終的な動議の文言に反映される。可決されても政府が従う義務はないが、政治的には無視するのが難しく、メイ首相の次の行動を縛ることになるかもしれない。
閣僚らによると、修正案を反映した動議が可決されても、法的にはメイ首相の離脱案に対する明快な承認とならず、離脱案を批准できない恐れがある。
◎否決された場合
離脱案が否決された場合、閣僚らは21日以内に次の手順を示す必要がある。政府は先に、否決されれば英国は3月29日に合意なしでEUから離脱すると表明している。
実際には、世界第5位の経済大国が大きな不透明感に包まれ、金融市場が厳しい反応を示す可能性があるため、政府はもっと素早く行動を起こす必要が生じそうだ。
一部報道によると、メイ首相は議会に再採決を求める見通しだ。12月の信任投票で与党議員317人中、117人が首相を不信任としたため、メイ氏に対する退陣圧力も高まりそうだ。
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