[ロンドン 16日 ロイター] - 風が吹きすさぶ英イングランド北部で16日、数百人のウクライナ人が軍事訓練に参加していた。兵士となってロシアと戦うべく、この1年で英国に渡った1万人余りの一部だ。
参加したウクライナ人は英国、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ノルウェーその他諸国の軍による指導の下、5週間にわたって軍事紛争に関する法律、市街や塹壕における戦闘、兵器や戦場での医術について学んでいく。
英政府は16日、今年は訓練対象者を2万人に倍増すると表明した。訓練の場所は英国全土に数カ所ある。
こうした動きは、北大西洋条約機構(NATO)が15日に表明したウクライナ支援強化の一環だ。
ニックと名乗るウクライナの家具職人(48)は、1年前にはイングランド北部で軍事訓練を受けることなど想像もしていなかったと語る。
「この知識を使って母国を守らなければならない。今ウクライナでは多くの人の血が流れているから、誰かが母国を守る必要がある」
ウォレス英国防相は15日、ウクライナの兵士がより「西側式」に戦い、旧ソ連の伝統的な戦法に比べて銃弾の使用量を抑えられるよう訓練していると説明した。
塹壕戦の訓練を行っていたカーターと名乗る英軍の伍長は、ウクライナ人は世界トップ級の軍から学んでいると指摘。「母国に戻った時、彼らは生き残ってうまく戦い、勝利を収められると確信している」と語った。
訓練では市街地での戦闘、つまり民家や民間施設の中での戦い方や、射撃も学ぶ。
前出のニックは自信を持ってウクライナに戻るつもりだ。「われわれは全員、帰国の準備が整っている。ウクライナは、国のために立ち上るわれわれを本当に必要としているのだから」と胸を張った。
(Andy Bruce記者)
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