[モスクワ/ブリュッセル 24日 ロイター] - ロシアとウクライナの間の緊張が高まる中、北大西洋条約機構(NATO)は24日、欧州東部に艦艇や戦闘機を増派し、南東部にも追加部隊を派遣する姿勢を示した。これに対し、ロシアはウクライナを巡る緊張を一段と高める行為として非難している。
また、米国防総省は同日、必要に応じて極めて短時間で欧州に派遣できるよう、米軍は約8500人を派兵待機としたと発表した。
ロシアがウクライナとの国境沿いに約10万人の部隊を集結させていることで西側諸国はロシアがウクライナを侵攻すると懸念している。
バイデン米大統領はこの日、欧州各国とビデオ会議を行い、ウクライナ情勢を協議。ドイツ、フランス、イタリア、英国、ポーランドなどのリーダーらと「極めて良い会合ができた」と述べた。
ホワイトハウスによると、会議では「ロシアのウクライナに対するさらなる侵略を抑止するための共同の取り組みが議論された」とし、そうした行動に対して多大な結果と厳しい経済的損害を課す準備のほか、東欧のNATO加盟国の安全保障強化について協議したという。
これに先立ち、NATOのストルテンベルグ事務総長は声明で、同盟国がこれまでに発表した対応策に歓迎の意を示し、「必要なあらゆる対策を取る」と表明。「NATOは安全保障を巡る環境の悪化に対し、集団的自衛の強化を含め、常に対応していく」とした。
その後の会見で、東欧でのNATOのプレゼンス強化には戦闘部隊の追加配備も含まれると表明。「南東部への戦闘部隊の配備も検討している」と述べた。
NATOはこれまでのところ、エストニア、リトアニア、ラトビア、ポーランドに約4000人の兵士のほか、戦車などを配備している。
米当局者によると、米国防総省は東欧に配備する部隊を特定するための作業を実施中。NATO外交筋は、米政府は欧州西部に配備している兵士の一部を向こう数週間で段階的に東部に移動させることを検討しているとの見方を示した。
一方で、ロシア関係筋によると、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの政治アドバイザーが26日にパリで会合を開き、ウクライナ東部での紛争解決に向け協議する。
<緊張の高まり>
NATOによるとデンマーク、スペイン、フランス、オランダがこれまでのところ東欧に兵士、戦闘機、軍艦などを派遣する計画があるか、派遣を検討。ウクライナはポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアのNATO4カ国と国境を接している。
緊張が高まる中、米国務省は23日、在ウクライナ大使館職員の家族に出国を命じたと発表。米政府職員の自主的な出国を認めたほか、米国民も直ちに国外退避を検討すべきと表明した。
これに続き英国も在ウクライナ大使館のスタッフの一部とその家族を退避させていると明らかにした。
こうした中、ロシア大統領府のペスコフ報道官は西側諸国の「ヒステリー」と非難。NATOの軍増強などの動きで緊張が高まっているとし、「ロシアの行動の結果、このような事態に陥っているのではない。NATOと米国による行動でこうしたこと起きている」と批判した。
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