[リビウ(ウクライナ)/ジュネーブ 25日 ロイター] - ウクライナ南部マリウポリの劇場に対する16日の爆撃により300人が死亡したと地元当局が発表した。
ウクライナ外務省は16日、数百人の市民が避難しているマリウポリの劇場をロシア軍が爆撃したと発表。その上で、多くの人が劇場に閉じ込められているとし、ロシアが戦争犯罪を起こしていると非難した。これに対し、ロシア側は民間人への攻撃を否定している。
マリウポリ市議会は25日の声明で、劇場への爆撃に伴う死者数を確定することはまだ不可能だが、「目撃者の情報によると、ロシア軍用機による爆撃の結果、マリウポリの劇場で約300人が死亡した」と明かした。
一方、ウクライナの国連人権チーム責任者、マチルダ・ボグナー氏は25日、衛星画像などによると、マリウポリの集団墓地に200体の遺体が埋葬されているもようと発表。ただ遺体が軍人なのか民間人なのかは判別できないとした。
国連人権事務所はロシアがウクライナに侵攻した24日以降の民間人の死者数はこれまでに1081人の上るとしており、ボグナー氏は「民間人の犠牲者数と被害の大きさは深刻な懸念を引き起こし、国際人道法の違反、特に無差別攻撃が実施されたことを強く示唆している」と述べた。
ボグナー氏が率いるチームは人権侵害が疑われる事例について調査しており、ロシア軍が車両で逃走中の民間人を射殺した件やウクライナ当局者およびジャーナリスト数十人の失踪、ロシア支配地域への民間人の強制移動などが報告されているという。
また、ウクライナ東部ドネツクでの無差別砲撃やロシア支持を理由とする民間人の殺害などウクライナ軍による人権侵害の疑いについても報告を受けているとした。
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