[モスクワ 5日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は5日、ウクライナ侵攻を受け対ロシア制裁を科している「非友好国」の投資家がロシアの主要エネルギー事業や銀行などの株式を売却することを年末まで禁止する大統領令に署名した。西側諸国による対ロ制裁に対抗する。
海外投資家が権益を持つ金融およびエネルギー関連の主要事業のほぼ全てに適用される。石油・天然ガス開発事業「サハリン1」も対象となるが、「サハリン2」には適用されないという。
具体的には、生産物分与契約(PSA)、銀行、戦略的事業体、エネルギー機器製造会社、石油・ガスや石炭、ニッケル生産プロジェクトに関連する保有資産の売却が禁止される。
プーチン氏は特定の事案については適用除外を認める可能性があるとした。投資家の名前には言及していない。
ロシアはこのところ、サハリン1やサハリン2を巡り権益を持つ外国企業に揺さぶりをかけている。サハリン1から撤退を表明している米石油大手・エクソンモービルが3日、保有する30%の権益を「他の相手」に引き渡す手続きを進めていると明らかにしたことを受け、サハリン1に出資するロシアの国営エネルギー企業・ロスネフチは4日、エクソンが一方的に生産を止めたと批判した。
エクソンは新たな大統領令についてコメントを控えた。同社は4日、サハリン1からの撤退で大きく進展したと発表。ただ、事業主体だった立場として、「人々の安全、環境保護、事業運営の保全を図る義務」があると説明した。
銀行ではイタリアのウニクレディトとインテーザ、米シティ、オーストリアのライファイゼンはロシアから撤退する方法をなお模索しているが、仏ソシエテ・ジェネラルや英HSBCなどは出口を見いだした。
シティグループは5日、コメントを控えたが、前日の開示資料でロシアで引き続き事業を縮小し、投融資を削減する方針を示していた。
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