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情報BOX:フィンランドとスウェーデン、NATO加盟の展望

[ストックホルム 13日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻により、フィンランドとスウェーデン両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請がいよいよ現実味を増してきた。所属する陣営を公然と選択しないことが平和を維持する最善の方法であるという、数十年にわたって掲げてきた信条を、共に放棄する構えだ。

4月13日、 ロシアのウクライナ侵攻により、フィンランドとスウェーデン両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請がいよいよ現実味を増してきた。写真は同日、ストックホルムで首脳会談に臨むスウェーデンのアンデション首相(左)とフィンランドのマリン首相。TT News Agency提供(2022年 ロイター)

1300キロに渡ってロシアと国境を接するフィンランドとスウェーデンの両国がNATOに加盟する可能性は、非常に高まったとみられている。ロシアはこれについて「深刻な軍事的・政治的結果を招く」と警告している。

政策の根本的な再検討に至ったいくつかの論点と、NATOに加入するための今後のステップについて整理した。

<スウェーデンとフィンランドがNATO非加盟である理由>

・第二次世界大戦後、両国ともロシアに比べて軍事力は弱小ながらも非同盟の立場を堅持してきた。

・フィンランドは1917年にロシアから独立したが、第二次世界大戦中にソ連と2度交戦し、その過程で領土の一部を奪われた。1948年にロシアと友好協力相互援助条約を締結。これにより、軍事的には西欧諸国から切り離されることになった。

・冷戦終結とそれに続くソ連解体によってモスクワからの脅威が低減し、フィンランドはロシアの影響下から脱っした。

・フィンランドの平和は、自国の軍事的抑止力とロシア政府との友好関係によって守られてきた。だが、ロシアが「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻を行ったことで、プーチン露大統領は友好的とは言い難い存在になった。

・スウェーデンは200年間戦争をしていない。戦後の外交政策においては、国際的な民主主義の支援、多国間での対話、そして核軍縮推進を柱としてきた。

・同国は冷戦終結後、軍事規模を縮小した。紛争が発生した際には、援軍が到着するまでロシアの侵攻を遅らせることを目指したものだった。プーチン大統領によるウクライナ侵攻により、軍事支援が保障されることの魅力が格段に増した。

・とはいえ、スウェーデン国内の左派勢力の多くは、究極的には米国による核抑止をベースとしたNATOの安全保障体制に依然として懐疑的である。

・フィンランドとスウェーデンは、1995年の欧州連合(EU)加盟を機に、公式の中立政策から軍事上の非同盟へと立場を転換した。

・だがロシアの威圧的な態度が強まる中、両国は近年、情報機関の交流や演習への参加という形でNATOへの接近を強めてきた。

・NATOに加盟すれば、スウェーデンとフィンランドは北大西洋条約「第5条」の対象となる。加盟国1国への攻撃をNATO全体への攻撃とみなすという規定だ。

<NATO加盟への支持は広がっているか>

・世論調査によれば、スウェーデンではNATO加盟に賛成する声が過半数をわずかに超えており、議会でも加盟申請を支持する会派が優位に立っている。

・申請に抵抗する最も有力な勢力と見られているのは、スウェーデン社会民主労働党だ。同国最大の政党であり、20世紀の大半の時期にわたり政権を担当していた。しかし同党も反対の方針を見直している。

・スウェーデン左翼党(旧共産党)と緑の党は反対している。

・フィンランドの民間放送局MTVが最近実施した世論調査によれば、フィンランドではNATO加盟賛成が68%、反対はわずか12%だった。

・報道によれば、左派連合を例外として、フィンランドの国会議員の過半数と大半の政党がNATO加盟を支持している。

<加盟が可能になる時期は>

・フィンランドのほうがスウェーデンよりも加盟申請に近づいている模様だ。

・フィンランドには「NATOオプション」が存在する。安全保障環境が悪化した場合に加盟申請を義務付ける、一種の行動計画である。

・フィンランドの中道左派5党による連立政権を率いるマリン首相(社会民主党)とニーニスト大統領はこの数週間NATO加盟数カ国を回り、申請を行った場合の支持固めを行った。

・フィンランド政府は13日に白書を発表し、最新の外交・安全保障政策を提示した。

・白書は、ロシアのウクライナ侵攻によってフィンランドの安全保障環境には大きな変化が生じたとしたが、NATO加盟の是非については立場を示さなかった。

・白書はこれから国会で審議される。マリン首相は「数カ月ではなく数週間以内に」決定が下されるだろうと述べている。

・フィンランドのハービスト外相は7日、議会の十分な支持が得られるようなら政府はすみやかにNATOへの加盟を提案すると述べた。

・NATOは6月にスペインのマドリードで首脳会議を開催する。

・スウェーデン政府も安全保障政策全般の見直しを進めており、5月末までに報告書をまとめる予定。アンデション首相は、この見直しの結論を待って決定を行いたいとしている。

・与党・社会民主労働党は、NATO加盟反対の方針を撤回するか否か党内での議論を進めており、夏前には報告書を発表すると見られる。

・スウェーデンでは9月に総選挙が行われる予定で、NATO加盟が争点の中心になる。有権者の明確な支持が得られた場合には、政府の加盟申請は容易になるだろう。

・もっとも、それ以前にフィンランドが加盟申請を決定した場合には、スウェーデン政府も追随するようプレッシャーがかかることになりそうだ。

(翻訳:エァクレーレン)

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