[マルマリス(トルコ) 22日 ロイター] - トルコ南西部マルマリスの港に22日、ロシア新興財閥(オリガルヒ)のロマン・アブラモビッチ氏が所有するとされるスーパーヨット「エクリプス」が入港した。前日にはやはり同氏に関係するスーパーヨット「ソラリス」がトルコのボドルムに入港したばかり。複数の関係者は、西側の対ロシア制裁対象となっているアブラモビッチ氏や他のロシアの富裕層が、投資先としてトルコに目を向けつつあるとの見方を示した。
トルコはロシアのウクライナ侵攻を強く非難しているものの、他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国による制裁には基本的に反対している。このためアブラモビッチ氏らにとって、トルコが安全な投資や資産管理の場所となる可能性が出てきている。
ソラリスは世界最大級のヨットで全長162.5メートル、2つのヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)と9つのデッキ、プールやミサイル防衛システムも備えているとされる。ロイターの観測や船舶追跡データによると、ギリシャ領海の島々を避けるようにしてマルマリスに到着したもようだ。またバミューダ国旗を掲げて航行していた。
アブラモビッチ氏は先週、イスタンブールに短期間滞在したことが、航空便追跡データや関係者の話から分かっている。ただどちらかのスーパーヨットに乗船した様子はない。
最近のアブラモビッチ氏が話した内容を知るアンカラのある関係者は、同氏や他のロシア富裕層が制裁を踏まえてトルコへの投資を検討していると説明。「彼は何か仕事をしたがっており、幾つか資産を買うかもしれない」と語った。既に同氏はトルコにある程度の資産も保有しているという。
アンカラの別の関係者によると、トルコは今のところ西側の制裁に加わることを考えていない半面、ロシア富裕層による資産取得や投資も想定していない。この関係者は「われわれはオリガルヒの資金がトルコに流入するといった問題には細心の注意を払って行動する」と述べた。
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