[ワシントン 11日 ロイター] - 米国と北大西洋条約機構(NATO)は、ウクライナに猛スピードで武器を輸送しており、その中には、航空機を撃墜できる、携帯式地対空防衛システム(MANPADS)と呼ばれる肩撃ち式ミサイルなど、非常にセンシティブなものが含まれている。
西側の武器提供により、ウクライナは米情報当局の予想以上に効果的にロシア軍と戦うことが可能になっている。
しかし、欧州で第二次世界大戦以降最大となる紛争に大量の武器を投入することはこれらの一部が悪の手に渡るリスクもはらんでいる。
米国防当局の高官は「リスクを取る価値があると考えている。ウクライナの人々が自由に使えるツールを創造的に用いて巧みに戦っているからだ」と述べた。
国防総省が資金提供した2019年の調査で、シンクタンクのRANDコーポレーションは、1970年代以降、60機以上の民間航空機がMANPADSにより撃墜され、1000人超の民間人が死亡したと推定している。19年時点で、57の非国家武装集団がMANPADSを保有しているか、保有が疑われているという。
また、ロシアはMANPADSの最大の輸出国で、10─18年にイラク、ベネズエラ、カザフスタン、カタール、リビアなどの国々に1万を超えるシステムを販売したという。
米国とNATOは、3週目に入ったロシアの侵攻以降にウクライナに輸送したMANPADSの数を公表していない。
これまでのところ、ロシアはウクライナに向かう西側の武器輸送隊を標的にしておらず、前出の米国防当局高官によると、西側が供給した在庫はロシアの手に渡っていないという。
しかし、ロシアのショイグ国防相は11日、西側諸国製の対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」を将来的に押収する可能性に言及。これらの兵器をウクライナ東部ドンバス地域の親ロシア派勢力に引き渡すべきだと述べた。
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