[ヒューストン/ワシントン 8日 ロイター] - 米国はベネズエラ産原油の禁輸措置緩和を巡る交渉で、輸出の少なくとも一部を米国に直接供給することを緩和の条件にする立場を示した。事情に詳しい関係者が明らかにした。米国はウクライナに侵攻したロシアに代わるエネルギー調達先の確保に取り組んでいる。
バイデン米大統領は8日、ロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると表明した。
米政府高官は5日にベネズエラの首都カラカスを訪れ、マドゥロ大統領らと会談。数年前から途絶えていた両国間の協議が再開した。
トランプ前米政権は2019年にベネズエラ産原油の禁輸措置を発動した。
関係筋によると、米側は協議で自国の原油調達を最優先とする姿勢を示し、禁輸措置の緩和はベネズエラが米国に原油を直接出荷することが条件になると説明したという。
米国務省と国営ベネズエラ石油(PDVSA)にコメントを求めたが、回答はない。
禁輸緩和で合意がまとまった場合、ベネズエラで操業を続ける唯一の米石油会社シェブロンが最初に恩恵を受けることになるとみられる。同社は20年以降、ベネズエラ合弁会社からの原油出荷を禁止されている。
同社はベネズエラ国内施設の保守と安全確保のため、限定的な操業を米政府から許可されている。
関係筋の1人によると、米政府が禁輸措置の緩和を決めれば、同社はベネズエラでの生産を一部復活させ、米メキシコ湾岸の自社を含む製油所への輸出を再開できるかもしれないという。
ただ、5日の2国間協議で進展はほとんど見られず、双方は協議継続で合意した。
人権侵害を巡り制裁対象に指定されているマドゥロ氏と協議したことを巡り、米議会の一部議員からは批判の声も上がっている。
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