[ワシントン 8日 ロイター] - 世界銀行の幹部は8日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高が続けば、中国、インドネシア、南アフリカ、トルコなど石油の輸入依存度が高い主要新興国の経済成長率が1%ポイント押し下げられる可能性があるとの見方を示した。
バイスプレジデントのインダーミット・ギル氏がブログで見解を示した。
新興国は債務・インフレなどさまざまな不透明要因に見舞われ、新型コロナウイルス禍からの回復が遅れているが、ウクライナ情勢の緊迫化が経済成長をさらに阻害する要因になるという。
ギル氏は「戦争でこうした不透明要因が悪化しており、世界中に影響が波及するだろう。最も脆弱な地域の最も脆弱な人々が打撃を受ける」とし、「紛争が世界経済の見通しをどこまで変えるか、現時点で判断できない」と述べた。
中東、中央アジア、アフリカ、欧州の一部の国は、ロシアとウクライナに食糧面で大きく依存。ロシア、ウクライナ両国は世界の小麦輸出の20%以上を占めている。
世銀の推計によると、10%の原油高が数年間続けば、石油の輸入依存度が高い主要新興国の経済成長率は0.1%ポイント押し下げられる可能性がある。
原油価格は過去半年で2倍以上に上昇しており、「こうした状態が続けば、中国、インドネシア、南アフリカ、トルコなど石油輸入国の経済成長率が1%ポイント押し下げられる可能性がある」と指摘。
「ロシアのウクライナ侵攻前は、南アの2022─23年の経済成長率は年間約2%、トルコは2─3%、中国とインドネシアは5%と予想されていた」としている。
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