[31日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスは31日、米国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。格付けは「AAA」を維持した。
格付け見通しの引き下げの背景として、公的財政の悪化などを指摘。財政の方向性は11月の大統領選挙や議会の構成次第となり、政策決定が停滞する可能性は残るとし、「新型コロナウイルス感染拡大による衝撃の収束後、公的債務の安定化に向け十分な財政緊縮が実施されないリスクが増大している」とした。
さらに、米国の政府債務はAAA格を有する国の中でも最も高水準にあり、2021年までに国内総生産(GDP)比130%を突破するとみている、とした。
これに対しアクション・エコノミクスのチーフエコノミスト、マイク・イングルンド氏は「米金融市場の信頼感を損ない、米国債の売りに動く投資家が現れるだろう。米国が実際に債務不履行に陥るとは誰も考えないが、利回りは上昇する可能性がある」との見方を示した。
一方、メルク・インベストメントの最高投資責任者(CIO)アクセル・メルク氏は、投資家の反応は限定的だと予想する。「もし投資家が本当に米国の債務状況を懸念しているとすれば、利回りは現在の水準にはとどまっていないはずだ。ただ、米国を始め多くの国でバランスシートの質が損なわれており、格付け見通しの引き下げは驚くことではない」と述べた。
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