September 7, 2018 / 1:38 AM / 2 months ago

訂正:日本電産の永守氏が目指す「型破り大学改革」、即戦力育成へ

[京都 7日 ロイター] - 日本電産(6594.T)を一代で世界のトップ企業に育てた永守重信会長が、日本の大学改革に情熱を注いでいる。今年3月に京都学園大学の理事長に就任。2020年には工学部を新設し、不足するモーター技術者の育成に乗り出す。偏

 9月7日、日本電産を一代で世界のトップ企業に育てた永守重信会長が、日本の大学改革に情熱を注いでいる。写真は同会長。7月に東京で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

差値偏重より実学重視の教育を徹底し、「これまでとはまったく違う大学を作る」。永守流の大学経営はまだ緒に就いたばかりだが、同氏は東大、京大をにらみ、早くも世界ランク入りに照準を当てている。

<モーターは「産業のコメ」>

永守会長がモーター専門の工学部を新設するのは、モーターの技術者不足が深刻になっているためだ。ロイターとのインタビューで同氏は、クルマの電動化、ロボット活用の広がり、省エネ家電の普及、物流革命というモーター需要の拡大を招く「4つの大波」が押し寄せているにもかかわらず、現状は「モーターの学問を教える大学がほとんどない」と不満をあらわにした。

モーターは近い将来、鉄、半導体に続く「産業のコメ」になると語る同氏は、技術者不足は経営の足かせになりかねないと危機感を強めている。だが「今年も500人近く新入社員採用したが、モーターの技術者はゼロ」。現在は社内にカレッジをつくって新入社員を育成しているが、今後は大学でも即戦力となる技術者を養成、拡大する需要に対応する。

永守氏を突き動かしているもうひとつの懸念は、現在の大学受験で、ブランドや偏差値至上主義がまん延している実態だ。自身の夢を追求し結果を出してきた同会長には、やりたいことより知名度やブランドを優先する大学選びが「社会に出ても、すぐに辞める」若者を生み出している原因と映る。

「ブランド主義と偏差値偏重教育が、日本の若者を駄目にした最大の要因だ」。永守会長は現在の教育にノーを突きつける。

<まずは世界199位以内に>

日本電産はこれまで6000人以上の大学・大学院卒の学生を採用してきたが、永守会長は学歴と入社後の実績は「まったく関係ない」と言い切る。だからこそ、京都学園大学の理事長も二つ返事で引き受けた。同大学は2019年4月に「京都先端科学大学」に校名を変更する。「偏差値は関係ない。まずは世界ランキングで199位以内となる大学をつくる」と意気込む。

英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が公表する世界の大学ランキング(2018年版)では、200位以内に入っている日本の大学は東京大学(46位)と京都大学(74位)のみで、その次は大阪大学と東北大学が201─250位となっている。つまり199位以内に入れば、日本では東大、京大に次ぐ3番目に高い評価を得られるというわけだ。

このランキングは教員1人当たりの学生数や論文の被引用件数、留学生比率などから算出するため、偏差値は関係ない。「この話を入学式でしたら、新入生や親は身を乗り出して聞いていた。10─20年後に(振り返ったら)素晴らしい大学を卒業したということになると言ったら、喜んでいた。そういう夢のある話をしないといけない」。

<TOEIC650点>

もちろん、夢を実現するために、カリキュラムも大幅にてこ入れする。そのひとつが英語学習だ。「卒業しても英語はできない、経営学部を出てもバランスシートも読めない、そんな学生を卒業させてどうするのか」。

カリキュラムの4分の1を英語学習にあて、読み書きよりも、実践的な英会話力の習得に力を入れる。日本電産のネットワークも生かし、世界各国で就業体験ができるプログラムの導入も検討する。「最低、英語能力テストTOEIC650点の人しか卒業させない」。

大学の世界では「実学」教育に対する抵抗感も根強いが、永守会長は「いまは50%以上が大学に行く時代。専門教育をやって、即戦力の人材を育成することが一番大事だ」と意に介さない。「いずれビジネススクール(経営大学院)もつくる」と意欲を示した。

大学改革は教員の強化も欠かせない。新設予定の工学部では「半分程度は企業出身者の教員を集めようと思っている」という。ただ、そこに立ちはだかるのが文部科学省だ。「文科省は教員資格はドクター(博士号)が必要とか、いっぱい言ってくるが、ドクターなんて関係ない。いまは誰でもとれる。これがまた改革の弊害になっていて、それを打破しないといけない」。永守会長は語気を強めた。

<欠席学生は不合格>

1973年、プレハブ小屋でたった4人(訂正)で創業した日本電産を一代で売上高2兆円を射程に捉えるまでに育て上げた永守会長。この成功体験とそれを実現した経営力を背景に、「普通の大学ではなく、まったく違う大学をつくる」というのが同氏の目標だ。

その覚悟は、学生にも求められる。「授業に出席しない学生は全員落第させる。来ない学生はクビだ」。実学を重んじ世界に通じる即戦力の育成を最優先する永守氏の意気込みは、大学教育のあり方に一石を投じることになりそうだ。

*最後から2段落目の人数を「3人」から「4人」に訂正、カテゴリーを修正しました。

志田義寧 山崎牧子 編集:北松克朗

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