for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:ユニゾ買収の行く末、PEに対する信頼感に影響も

[香港 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ユニゾホールディングスをめぐる買収劇が混乱した結末に陥るなら、日本企業の間でせっかく芽生えていたプライベートエクイティ(PE)企業への信頼感が、台無しになるかもしれない。

 3月1日、ユニゾホールディングスをめぐる買収劇が混乱した結末に陥るなら、日本企業の間でせっかく芽生えていたプライベートエクイティ(PE)企業への信頼感が、台無しになるかもしれない。写真はホテルユニゾのロゴ、2019年11月に都内で撮影(2021年 ロイター/Junko Fujita)

ユニゾは昨年、従業員と米PE企業・ローンスターが設立したチトセア投資によるTOB(株式公開買い付け)を通じて非公開化。ユニゾはその直後、新たなオーナーになったチトセアに対し、ローンスターに返済する資金を融資していた。

債権者は今、ユニゾが債務返済能力を失う瀬戸際にあると危惧している。PE企業は長年日本企業に対し、自らを信頼できる協力相手としてアピールし続けてきたが、その努力も水泡に帰しかねない。

ホテル・オフィスビル運営のユニゾは、旧日本興業銀行系の不動産会社を発祥とする創業62年の老舗企業。一昨年から米ブラックストーンやフォートレスを含む複数の買い手が9カ月にわたって同社争奪戦を繰り広げた結果、株式時価総額は3倍に膨れあがった。米エリオット・マネジメントも大きな利害関係者として争奪戦に絡んだ。

最終的には、ローンスター主導のTOBが受け入れられた。当初の開示文書によると、チトセア投信の従業員にはローンスターとの関係を維持するか、6カ月以内に同社に資金を返済するかの選択肢が与えられていた。

しかし、コロナ禍がホテル産業を襲うと、状況は一変。そして、問題が浮上した。ユニゾの社債は最近、元本1ドルに対して0.21ドルまで下がっている。ノムラのアナリストによると、ユニゾは昨年4―9月期に1440億円相当の不動産を売却し、ローンスターへの返済資金としてチトセアに20億ドル以上を融資。日本の格付け会社は昨年12月、ユニゾの格付けをジャンク級(投機級)に引き下げた。チトセアの債務返済能力は、ユニゾから配当をさらに受け取れるかどうかにかかっている。

ローンスターの行動は、長く禍根を残すかもしれない。ノムラの数字に基づくと、同社は約5億ドル、26%相当の利益を手にして立ち去った形になっている。PE企業が長年、苦心して日本企業に売り込んできた信頼感を打ち壊すような動きだ。

ディールロジックによると、M&A(合併・買収)に占めるPE関与案件の割合は、米国では10%だが、日本は約2%に過ぎない。しかし、東芝や日立製作所などは近年、PEによる事業買収に前向きな姿勢を示し始めていた。その上、果敢な攻めの買収構造を選んだのは結局のところ、ユニゾの幹部ら自身だった。

とはいえ今回の一件は、日本企業の取締役会がPE企業に対して防御を固める新たな口実となるリスクがある。

●背景となるニュース

*香港のヘッジファンド、アジア・リサーチ・アンド・キャピタル・マネジメント(ARCM)は2月8日付でユニゾ取締役会に書簡を出し、ユニゾが昨年チトセアに実施した2160億円の融資への懸念を表明。ユニゾ従業員らで構成するチトセアは、米PE企業ローンスターの後ろ盾を得てユニゾを買収していた。

*ユニゾの社債を保有するARCMによると、チトセアはユニゾからの融資をローンスターへの債務完済に充てた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up