December 4, 2018 / 4:59 AM / 8 days ago

コラム:内憂外患のG20首脳、「最悪の事態」まだこれから

[3日 ロイター] - アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議から帰国の途についた世界の首脳らは、ほっと一息ついているだろう。

 12月3日、アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議から帰国の途についた世界の首脳らは、ほっと一息ついているだろう。写真は11月30日、G20でのメイ英首相(左)、マクロン仏大統領(中央)とトランプ米大統領。代表撮影(2018年 ロイター)

無理もない。数週間前のアジア太平洋経済協力会議(APEC)と違い、共同宣言で合意にこぎ着けた上、米中首脳会談では、当面の間とはいえ貿易摩擦の激化を避けることができた。

しかし、こうした結果を伝える明るい見出しは、物事の半面しか描き出していない。

首脳会議は、各国間で憂慮すべき数多くのずれが生じていることも浮き彫りにした。フランスのマクロン大統領はサウジアラビアのムハンマド皇太子を非難し、トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領を冷遇。互いを無視したり敵意をむき出す首脳が増えた。

最大の目玉は世界貿易機関(WTO)改革での合意となったが、これも論争拡大への序章に過ぎないかもしれない。大半の国々は実際にWTOの変革を望んでいるが、米中貿易摩擦を踏まえれば、改革の方法について合意を形成できるとは考えにくい。

トランプ大統領のような首脳のご機嫌をうかがい、国際外交の最高の舞台であるはずのG20で「多国間主義」という文言を首脳宣言に盛り込むのに四苦八苦したこと自体が、すべてを物語っている。関係者らによると、ほとんどの外交努力は米中を筆頭とする主要国にとってのタブーを避けることに向けられた。

国際的な危機が同時進行する中で開かれた今回の会議は、多くの意味で、2009年4月のロンドン会合以降で最も重要なG20だった。当時は世界金融危機の翌年で、首脳らは国際協調で一致した。

しかし今回の出席者たち、特に西側最大の民主主義国家の首脳らは、自国の政治情勢のことで頭がいっぱいだったようだ。マクロン大統領は首脳会議中、国内で過去数十年で最悪の街頭デモが起こっていることを知らされた。メイ英首相は欧州連合(EU)離脱素案の議会採決を控えて正念場を迎えている。トランプ氏は会議中も、大統領選ロシア干渉疑惑捜査を批判するツイッター投稿に忙しかった。

プーチン大統領とムハンマド皇太子が笑顔で握手を交わす姿は、また別の物語を伝えている。圧政の度合いを強める独裁的国家同士が接近する構図だ。しかし同時に、独裁者らは強まる圧力にもさらされている。ロシア経済の不振ゆえにプーチン氏の支持率は下がっており、ウクライナのような国々に喧嘩を吹っかけても形勢を変えられるかどうか分からない。サウジは記者殺害疑惑によって外交上の痛手を被った。

独裁的指導者らはまた、一枚岩ではない。トルコのエルドアン大統領はプーチン氏のロシアに接近しつつ、サウジとの対立を強めている。国際的相関図のパーツが次々と移動し、多くの2国間関係において確執が深まり続けているように見える。

トランプ大統領にとって、今回のG20はおおむね成功だった。米国の要望を受けて首脳宣言から難民や移民への言及が取り除かれ、気候変動対策へのコミットメントも避けられた。明らかに米国を意識した「保護主義」の文言も削除された。

数々の問題で頑として譲らないトランプ氏だが、それでも主要国首相は彼のご機嫌を取りたいようだ。とりわけ安倍晋三首相は、与党・共和党が下院で過半数議席を失った米中間選挙でトランプ氏が「歴史的な勝利」を収めたとまで言い、おべっかに余念がなかった。中国の習近平国家主席も融和的な態度を見せ、ロシアは米ロ首脳会談を中止した米国に「遺憾」の意を示すにとどめた。

トランプ政権は来年初め、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と再び会談して外交的な成功を収めたい意向だ。米中関係が一時的とはいえ改善したことは、追い風となるだろう。トランプ氏は3日のツイッター投稿で、近い将来に習、プーチン両氏との3者会談を開き、大規模かつ際限のない軍拡競争に歯止めを掛ける交渉を始めたいとも述べている。

この機運がいつまで続くかは定かでない。米中首脳会談で、米国は追加関税を90日間猶予することで合意した。しかし早くも緊張再燃の兆しが芽生えている。会談後、合意の解釈について米中間で小さいながらも顕著な違いが明らかになっており、今後数週間の出来事によって多くが左右されそうだ。粗雑ながら分かりやすい指標は、南シナ海での対立が増えるか減るかだろう。

この1年間、ほぼすべての主要な国際関係が悪化したことを考えれば、G20首脳会議はもっと悲惨な結果に終わってもおかしくなかった。しかし出席したほとんどの首脳が大きな内憂を抱えている。来年6月に日本で次回G20首脳会議が開催されるころには、多国間外交の成功はさらに難しくなっているかもしれない。

*筆者はロイターの国際問題コラムニストです。筆者は2006年、戦地で自動車衝突事故により麻痺状態となり、自身の障害についてのブログも書いている。2016年以降は英国防義勇軍と英労働党のメンバー。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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