July 20, 2018 / 7:27 AM / 5 months ago

コラム:米自動車輸入制限、反対一色の業界尻目に導入強行か

[ワシントン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米政府の自動車輸入制限を阻止しようとする自動車メーカーの取り組みは、手詰まりになるかもしれない。自動車業界は、輸入関税が導入されれば米国民は新車購入に合わせて830億ドルも余計な支払いが必要になると主張する。また欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長が、来週予定しているトランプ大統領との会談で何らかの合意に達する可能性はある。しかしトランプ氏は、何としても輸入制限を実施する決意のように見受けられる。

 7月19日、米政府の自動車輸入制限を阻止しようとする自動車メーカーの取り組みは、手詰まりになるかもしれない。写真は輸入自動車。英シーアネス港で2017年10月撮影(2018年 ロイター/Peter Nicholls)

米商務省が19日、自動車・自動車部品の輸入制限について関係者からの意見を聞くために開いた公聴会では、ほぼ反対の声一色となった。トランプ氏は、自動車・自動車部品の輸入に20─25%の関税を課す意向を示唆している。これに対してゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)やトヨタ自動車(7203.T)などが加盟する業界団体は、25%の関税が実施された場合、輸入車の価格は1台当たり6000ドル、国産車も2000ドル上がると警告。自動車販売店の団体は、輸入関税によって約7万15000人が失業すると訴えた。

商務省はこれらの意見を参考に、輸入自動車・自動車部品が米国の安全保障を脅かしているかどうか判断する。トランプ氏が輸入制限を提案した理由が安全保障上の問題だったからだ。

もし本当に輸入制限が行われれば、米国の同盟国が最も大きな影響を受ける。カナダとメキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)に加盟しているため、現在米国の輸入車のおよそ半分から両国が占めている。そのほかの対米輸出国トップ5には、日本とドイツ、韓国が入る。

ロス商務長官は19日、輸入制限が妥当かどうか決めるのは時期尚早だと述べた。ただトランプ氏はその前日、貿易交渉が自らの意にかなう方向に進まなければ「相当の報復」が必要になってもおかしくないと発言し、対欧州ならば自動車が「有力な手段」になると指摘した。

米国の現在の輸入自動車への関税は2.5%だが、EUは10%に設定している。

ユンケル氏は米国から高い関税をかけられるのを避けるよう、うまく話をまとめられるかもしれない。韓国は今年、米国の安全基準だけを満たした米自動車の輸入量を倍に増やしたことで、鉄鋼関税の適用を回避した。

それでもトランプ氏は長年にわたって自動車輸入を強く批判してきた。自身がレーガン元大統領の通商政策のファンだとも公言している。レーガン政権は1981年、多くの日本メーカーに対米輸出を制限する割り当て制度を実施したことで知られる。

その後の37年で事態は大きく変化した。米国で製造・販売される自動車の半分近くを外国メーカーが占めるようになったのは言うまでもない。とはいえトランプ氏が過去の過ちに怒っているからこそ、自動車輸入制限は不可避となる様相が見え始めている。

●背景となるニュース

*EU欧州委員会のユンケル委員長は25日、トランプ米大統領と会談する。外交政策や安全保障問題とともに激化しつつある貿易摩擦について話し合う。

*自動車および自動車部品メーカー、販売店の業界団体は19日に米商務省が開いた公聴会で、自動車・自動車部品の輸入制限は多数の失業と国内販売価格の上昇につながると訴えた。

*トランプ氏は、輸入自動車・自動車部品が米国の安全保障に脅威となっていないか商務省に調査を指示しており、商務省の判断次第では20─25%の関税が導入される可能性がある。

*GMやトヨタなどが加盟する米自動車工業会(AAM)は、25%の関税によって国内の販売価格は年間で総額830億ドル高くなるとの見通しを示し、輸入車は1台当たり6000ドル近く、国産車も2000ドル値上がりすると警告した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below