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コラム

コラム:米大統領選の欠陥正せるか、カギは経済格差の縮小

[ニューヨーク 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ジョー・バイデン氏は20日、演説で結束と融和を呼び掛け、「民主主義が勝利した」と宣言するとともに、山積みの仕事を抱えて米大統領に就任した。環境対策や人種間の平等と並び、今求められているのが経済を是正するための大規模な政策だ。そこでバイデン氏が経済政策に成功すれば、将来の選挙を今より欠陥の小さい姿に変えるのに役立つかもしれない。彼自身が再び出馬するか否かに関わらずだ。

 1月20日、ジョー・バイデン氏は演説で結束と融和を呼び掛け、「民主主義が勝利した」と宣言するとともに、山積みの仕事を抱えて米大統領に就任した。写真は20日、ホワイトハウスから花火を見上げるバイデン大統領とジル夫人(2021年 ロイター/Tom Brenner)

資産と所得は米国民の投票結果を左右するのみならず、米国民が投票したいと望むか、投票が可能かの問題にも影響する。多くの州では、投票するために何時間も列に並ぶ必要がある。エコノミストが婉曲的に「柔軟な」労働市場と呼ぶ米国において、そんなことは低賃金労働者には無理難題だ。低賃金地域の有権者は選挙に行くのが最も難しい。なお、エジソン・リサーチの出口調査によると、昨年の大統領選挙では、そうした地域は民主党寄りの選挙区と重なっていた。

昨年の大統領選の投票率が63%に「とどまった」のは、投票に伴う代償の大きさに一因がある。この投票率は米国史上では最高だったとは言え、ピュー・リサーチの集計によると経済協力開発機構(OECD)加盟国では、これより高い国が20カ国以上ある。

時給引き上げや「ギグ・ワーカー」への法的保護強化など、バイデン氏が提唱する労働者向け政策の一部は、回り回って将来の選挙で投票率をさらに引き上げる一助になりそうだ。

翻って、選挙改革が経済の好転につながることもある。米国の選挙区の形は往々にして「ワニ」から「耳当て」に至るまで、とても奇妙な姿をしている。これは特定の政党や候補者に有利になるように選挙区の区割りを改変する通称「ゲリマンダー」の影響だ。米センター・フォー・アメリカン・プログレスの調査によると、最近の選挙を平均的に見ると、こうした区割り改変により59もの選挙区で選挙結果がそれまでと変わった。そうした選挙区にいる米国民は推計4200万人に上る。

この奇妙な状態の修正は、所得格差の縮小にもつながる可能性があるのだ。より多様性のある選挙区の選出議員の方が、地区内のさまざまな要請に応えようとすることで、結果的に地区の富と繁栄の偏在をならすインセンティブが働くだろう。無風選挙でなくしのぎを削る選挙の方が、候補者は有権者の求める雇用や収入のために闘おうとする可能性が高い。米国の選挙地図をゲリマンダー化から守る法案には、上院議員の単純過半数ではなく、60人以上の賛成が必要になる可能性が高く、ハードルは高い。しかし選挙人団制度の廃止とは異なり、憲法改正の必要はない。

選挙制度を変え、投票を阻む経済的要因を正したからといって、ある政党がより頻繁に勝つようになるとは限らない。米国民の過半数の意思をより良く反映する選挙制度になれば、選挙結果はより穏当になるだろう。トランプ氏は2016年、選挙年齢に達した米国民の約4分の1の票を獲得しただけで勝利した。米国の経済格差を縮めれば、民主主義的な結果は後からついてくるはずだ。

●背景となるニュース

*ジョー・バイデン氏は20日、第46代米国大統領に就任した。

*バイデン氏は就任演説で「今日、われわれは一候補ではなく大義の勝利を祝っている。民主主義という大義だ」と述べ、「民主主義が勝利した」と宣言した。

*マコネル上院院内総務(共和党)は19日、トランプ氏が6日の議会襲撃を「あおった」と述べた。下院は先に、トランプ氏を反乱扇動の罪で弾劾訴追した。上院での弾劾裁判で有罪評決が出るには、議員100人中67人の賛成が必要になる。

*シューマー上院院内総務(民主党)は19日、新たな議会が最初に審議する法案は、選挙制度改革を含む「人民のための法」になると述べた。下院は2019年にこの法案を可決している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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