August 8, 2018 / 2:51 AM / 2 months ago

コラム:米国債利回り、3%は「魔法の数字」

[ロンドン 7日 ロイター] - 米10年物国債利回りは現在4%が妥当な水準で、さらに5%に向けて上昇する──。世界で最も影響力の強いバンカーはこう考えているが、現状は3%でさえ突破するのに四苦八苦しているのが実態だ。

 8月7日、米10年物国債利回りは現在4%が妥当な水準で、さらに5%に向けて上昇する──。世界で最も影響力の強いバンカーはこう考えているが、現状は3%でさえ突破するのに四苦八苦しているのが実態だ。写真は米ドル紙幣。2018年2月撮影(2018年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)

ブルームバーグによると、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は前週末、「利回りは現在4%になっていてしかるべきだと思う。5%かそれ以上に上昇すると覚悟した方がいい。その確率は大半の人々が考えているより高い」と述べた。

この予想はこれまで、なかなか現実化していない。10年債利回りが3%を超える度に幅広い投資家から買いが押し寄せ、押し返されることの繰り返しだ。

4月以来、3%超えを試したことは4回あり、直近は先週だった。3%超水準での継続期間は最長が5月14─23日で、この時は7年ぶり高水準の3.11%をつけた後に急反落した。あと3回は、ほんの数時間で跳ね返されている。

今年の環境を考えれば、10年債利回りが3%を超えないことの方がよほど驚きだ。米経済は順調に拡大し、連邦準備理事会(FRB)は利上げとバランスシートの縮小を進め、政府の借金と国債発行は増え、投機筋は空売りポジションを膨らませている。

しかし超低金利、人口高齢化、潜在成長率低下という世の中において、おそらく世界で最も安全で流動性の高い資産に投資して3%のリターンが得られるとあれば、多くの投資家は手を出さずにいられないのかもしれない。

相対的に見ると、3%の利回りは間違いなく魅力的だ。新興国のソブリン債利回りの米国債への上乗せ幅はせいぜい300ベーシスポイント(bp)程度で、リスクを考えれば十分ではない。トルコやアルゼンチンで何が起こったかを考えてみるとよい。

他の高格付け国の国債利回りと比べると、米国債利回りははるかに高い。ドイツの10年国債利回りは0.4%、英国は1.3%、日本は0.10%だ。

左右どちらを見渡してみても、無リスク金利で3%を確保できるのは魅力的に違いない。

モルガン・スタンレーのアナリストチームは、10年物米国債利回りが年前半に天井を打ったとみて、投資家に買いを勧めている。シティのアナリストチームは、同利回りが「長年のレンジの上限」にあるため、経験則に従えば下がるはずだと予想する。

世界最大の資産運用会社ブラックロックは、利回りと安全性を求める「飽くことを知らぬ」世界的な需要により、米長期債利回りは今後も抑制されるとしている。

そうした需要の源泉の1つが年金基金だ。約1兆5500億ドルの資産を抱える米企業年金は、米国株の値上がりによってリスク量を落とす余裕が生じているため、資産の1部を今後債券にシフトする可能性がある。

米企業は税制改革の恩恵を利用し、年金基金への資金投入を増やしてもいる。これらを考え合わせると今後、長期の社債と米国債に数十億ドルの追加資金が流れ込み、利回りの上昇を抑える可能性がある。

もっとも、3%という水準は「キリの良い数字病」のようなもので、あまり意味はないのかもしれない。

エーオンの資産配分専門家、Koray Yesildag氏は「3%という水準に心理的な、そして直近の取引水準という以上の意味はない」とし、米10年債利回りの「適正水準」は3から4%の間にあるとの見方を示した。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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