November 30, 2018 / 7:19 AM / 17 days ago

コラム:米長期金利の高止まり、世界経済や市場のリスクに

[ロンドン 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は来年、利上げペースを従来見通しより緩めるか、場合によっては利上げを打ち切るとの見方が強まってきた。

11月29日、米連邦準備理事会(FRB)は来年、利上げペースを従来見通しより緩めるか、場合によっては利上げを打ち切るとの見方が強まってきた。2月撮影(2018年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)

他の条件が同じなら、これに伴い米国債利回りも低下して金融環境の緩和につながるはずだが、利回りは予想ほど下がっていない。これは利回りの上昇要因も着々と積み上がっているたためだ。

10月は米国株にとって過去7年で最悪の月となった上、米景気指標の一部、特に住宅統計には赤信号が灯り始めた。

パウエルFRB議長は28日、政策金利が既に中立水準に近付いたことを示唆し、これを受けて10年物米国債利回りは9月以来の低水準を付けた。とはいえ依然3%を上回っており、10月初めのピークから20ベーシスポイント(bp)程度しか下がっていない。

これに対し、短期金融市場が完全に織り込む来年の利上げ幅は0.25%ポイントと、数カ月前の2%ポイントから大幅に縮小した。

米国債利回りが3%超に高止まりしたり、再び上昇を始めることが、市場と経済のリスクに浮上している。

そうなれば、米金利とドル相場の影響を最も受けやすい新興国市場が危うくなるだろう。現在、米国債利回りは高止まりし、ドルは昨年6月以来の高値水準で推移しており、雲行きは良くない。

米国債は過去最大の供給、高いヘッジコスト、FRBのバランスシート縮小に加え、新興国が自国通貨を支えるために米国債を売る可能性にも直面している。これらの要因が重なれば、10年物利回りが3%超の水準を保っても不思議ではない。歴史的な長さの景気拡大と強気相場が終焉を迎えてもだ。

米国債市場の需給バランスは、徐々に供給過多の方向に傾いているように見える。調査会社FFTTのルーク・グロメン氏は、今後嵐が訪れて投資家が安全資産を求めた時、その需要だけで需給不均衡を埋められるだろうか、と疑問を呈する。

グロメン氏の試算では、米国債は来年最大8兆ドルが償還を迎え、新規発行は1.3兆ドルとなる見通し。その上、FRBは既にバランスシートの縮小に着手している。

これは民間セクターが買うには大きすぎる規模だ。しかも現在の利回り水準により、海外投資家にとって米国債買いヘッジコストは耐えられないほど高くなっている。

フェデラルファンド(FF)金利をFRBが中立と考える3.0%前後まで引き上げるには、あと3、4回の利上げが必要だが、政策金利は既に高過ぎる可能性もある。

シンクタンク外交問題評議会のベン・ステイール、ベンジャミン・デッラ・ロッカ両氏は最近のブログで、FRBのバランスシート縮小と利上げによって金融環境は既に中立よりも引き締まっているとの見方を示した。「つまり来年初めから、金融政策が景気を縮小させ始めるだろう」という。

米景気が来年景気後退に陥ると考える人はほとんどおらず、ましてや既に景気後退入りしたとは見られていない。しかしFRBが2008年末に利下げを始めたのに対し、米景気は前年の12月から既にマイナス成長に陥っていたことを思い出す価値はある。

大半のエコノミストは、金融政策はなお緩和的であり、米経済にリスクがあるとすれば減速ではなく過熱だと考えている。このためFRBは引き締めを続け、米国債利回りには自ずと上昇圧力がかかるだろう。

10年物米国債利回りはいったん3.50%を付けてから2.50%に下がるというのが、今も大方の見方だ。景気の状態に関係なく実際に3%超を維持し、徐々に上昇していくようなら、FRBはある決断を迫られるだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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