December 11, 2018 / 7:42 AM / 8 months ago

焦点:逆イールドが示唆する米景気後退、予想よりも遅い可能性

[10日 ロイター] - 米国債のイールドカーブのいくつかの主要年限間で長短利回り差が逆転(逆イールド化)した後、景気後退が到来するとしても、その時期は大方が考えるよりも遅くなる可能性がある。

 12月10日、米国債のイールドカーブのいくつかの主要年限間で長短利回り差が逆転(逆イールド化)した後、景気後退が到来するとしても、その時期は大方が考えるよりも遅くなる可能性がある。2017年撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

長期ゾーンに比べて短期ゾーンの発行量が急激に増えたことで国債市場の動きが変わってしまった上に、一般的に注目されているのと別の指標は、景気下降局面の訪れがもっと先だと示唆しているからだ。

トランプ政権が来年1兆ドルに達しようかという財政赤字穴埋めのために計画している国債増発は短期ゾーンに集中している。一方、銀行は2007─09年の金融危機以降、米国債よりも住宅ローン担保債(MBS)の購入を優先する傾向があり、MBSのイールドカーブの重要性が高まってきた。

従来重視されてきた米国債の2年─10年利回りが逆イールド化すれば、18カ月から2年で景気後退が始まるとみなされてきた。しかしこうした需給面の構造変化を受け、一部の専門家は逆イールド発生から景気後退開始までの期間が延びているのではないかとの見方をするようになっている。

短期ゾーンでは今週、2─3年と2─5年の利回りが逆転して金融危機以来初めて米国債市場に逆イールドが出現。2─10年利回りの差もわずか10ベーシスポイント(bp)弱と、07年以降で最小になり、景気後退が近いとの観測が広がった。

ただしイールドカーブは、金融危機に対応して主要中央銀行が実施した量的緩和(QE)によっていびつにされた面がある、とアナリストは主張する。つまりたとえ2─10年が逆イールド化しても、必ずしも景気後退が間近だと読み取るべきではないという。

ジェフリーズの短期市場エコノミスト、トーマス・シモンズ氏は「現在のイールドカーブはQEとその巻き戻しによって、大々的に歪められている」と話した。

そこに米財務省が今年2月以降で2年債を820億ドルも増発し、発行額が10年債の220億ドルを大きく上回る事態が加わった。サイモンズ氏は「短期ゾーンには非常に大量の供給があり、長期ゾーンはそこまでではない」と指摘。短期ゾーンの利回りを相対的に押し上げ、2─10年の利回り差縮小をもたらした。

米国債需要も金融危機後に変化があった。銀行が連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)や連邦住宅抵当貸付公社(フレディマック)といった政府系住宅金融機関が保証するMBSを米国債の代わりの投資先とする動きが強まったのだ。

カナコード・ジェニュイティのアナリスト、ブライアン・レイノルズ氏は「銀行が米国債をファニーメイ債やフレディマック債ほど投資手段として利用しなくなった点を踏まえれば、米国債のイールドカーブの重要度は過去9年半で低下している」と分析する。

米連邦準備理事会(FRB)のデータで米銀の保有動向を見ると、08年末に1兆1600億ドルだった政府系住宅金融機関保証付きMBSは2兆2300億ドルまで膨らみ、米国債の560億ドルから5030億ドルより増加幅が大きくなった。

ファニーメイとフレディマックの保証が付いたMBSの2─10年利回り差は足元でそれぞれ約24bpと44bpあり、この先逆イールド化する場合でも、米国債の同期間よりも後になりそうだ。

サンフランシスコ地区連銀は8月に公表した論文で、金融市場で主な話題になるのは米国債の2─10年利回りだが、1年後の景気後退を予告する指標としては3カ月物短期国債と10年債の逆イールド化の方が優れていることが分かったとしている。

現在の3カ月─10年の利回り差は50bp前後なので、やはり2─10年よりも逆イールド化の時期は遅くなるだろう。

アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は、このイールドカーブが逆転するのはずっと先になってもおかしくないとみている。

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