August 5, 2019 / 10:37 PM / 11 days ago

米政府、中国を為替操作国に認定 貿易摩擦激化へ

[ワシントン 5日 ロイター] - 米政府は5日、中国を為替操作国に認定した。中国が10年超ぶりの元安水準を容認したことを受けた措置で、米中の貿易摩擦は激化の様相を強めた。

 8月5日、米政府は5日、中国を為替操作国に認定した。中国が10年超ぶりの元安水準を容認したことを受けた措置で、米中の貿易摩擦は激化の様相を強めた。写真はムニューシン米財務長官。7月撮影(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)

米財務省は5日夜、1994年以来初めて中国を為替操作国に認定したことを明らかにした。これにより、二国間協議の正式な手続きが始まる。トランプ米大統領は就任時の約束を果たしたことになる。[nL4N2515JA]

財務省は声明で「認定の結果、ムニューシン財務長官は中国による不公平な競争を排除するため、国際通貨基金(IMF)に働き掛ける」とした。

IMFは現時点でコメントを出していない。

米株式市場の引け後に発表された財務省の声明を受け、S&P総合500種指数先物EScv1は一時1%超下落。ドル指数.DXYも下落し、金XAU=は6年ぶり高値を付けた。

中国は5日、1ドル=7元を超える元安を容認した。また、米国の農産品の購入を一時停止すると発表し、米国との貿易摩擦をエスカレートさせた。

中国を正式に為替操作国に認定する前も、トランプ大統領はツイッターで、中国は為替操作をしていると非難していた。「中国はほぼ史上最低の水準まで通貨を下落させた。これは『為替操作』だ。FRBよ、聞いているか?これは重大な違反行為で、いずれ中国を著しく弱体化させることになる!」と投稿した。

人民元急落の背景には、トランプ米大統領が1日、中国からの輸入品3000億ドル分に制裁関税を課す意向を示し、米中の「休戦」を突如破ったことがある。

米財務省は、中国人民銀行(中央銀行)の5日の声明により、中国当局が為替相場を大いにコントロールしていることが明白になったと指摘。「為替操作の豊富な経験があり、継続的に操作する用意があることを人民銀は公然と認めた」とした。

また、中国の行為は競争的な通貨切り下げを自制するとした20カ国・地域(G20)諸国の約束にも違反すると批判した。その上で、中国が約束を守り、競争的な目的で為替相場をターゲットにしないことを期待すると表明した。

米国の法律では、主要貿易相手国による為替操作の判断基準として、多額の経常黒字、大規模な対米貿易黒字、継続的かつ一方的な為替介入の3つを定めている。

米財務省は為替操作国に認定した国との間で、通貨の過小評価是正に向けた特別協議を求めることが義務付けられている。

米財務省やIMFで高官を務めたマーク・ソーベル氏は、おそらくトランプ大統領がムニューシン財務長官に認定を指示したのだろうとの見方を示した。その上で「中国を為替操作国に認定するのはばかげている。単に関税を上乗せしたいなら別だが、有意義な対応手段はいっさい持ち合わせていない」と指摘した。

<中国は反発>

中信建投証券のチーフエコノミスト、Zhang Anyuan氏は「人民元相場の1日の動きに基づいて為替操作があったと認定するのは不当だ」と主張。「米国が中国を為替操作国に認定した今、米国が状況の既存の理解を超えた制裁策を打ち出してくることを排除できない」と述べた。

中国国営メディアは、貿易戦争で米国に対抗するため、中国が米国へのレアアース輸出の支配的地位を活用する可能性を警告している。

アナリストは、中国が中国国内で事業を行っている米企業への圧力を強める可能性があるとみている。

<中国人民銀行は通貨安競争を否定>

中国人民銀行(中央銀行)は5日の人民元の対ドル基準値(中間値)を8カ月ぶりの元安水準に設定し、元売りが加速するきっかけとなった。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国の金融当局は、市場が米中貿易摩擦や弱い経済成長率を巡る懸念を織り込めるよう1ドル=7元を超える人民元安を容認したという。

人民銀の易綱総裁は中銀のウェブサイトに掲載した声明で、中国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を考慮すると足元の人民元は適切な水準にあるとの認識を示した。その上で、中国は競争的な通貨切り下げを行わないとし、為替管理政策の安定と持続性を保つと強調した。

これより先、人民銀は声明で、元安の主な要因は保護貿易主義や中国製品への関税だと説明する一方、中国の為替政策スタンスは変わらないとし、双方向への元相場の変動は正常だとの見方を示した。[nL4N25115X]

貿易摩擦の激化で中国当局が人民元の安定を維持する理由が減る中、アナリストの間では元安が一段と進み、7.3元まで下落するとの見方も出ている。

貿易摩擦の激化を受けて各国金融市場では、中国が輸出業者への打撃を和らげるためどこまで元安を容認するかを巡っても懸念が高まっている。

アナリストはこれまで、当局は資本流出のリスクを懸念して元安を抑制しているとみていた。

貿易摩擦を背景に中国経済はここ1年で減速しているものの、前回の景気低迷局面で導入した資本管理策や中国の株式・債券に対する海外からの資金流入拡大を受け、急速な資本流出は生じていない。

中国は2015年に人民元を切り下げて世界の金融市場を揺るがし、相場安定のために1兆ドル相当の外貨準備を投入した経緯がある。

*内容を追加しました。

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