August 19, 2019 / 6:14 AM / in 3 months

焦点:「外患」が意外な援軍に、揺るがぬ習近平氏の国内基盤

[北京 16日 ロイター] - 中国は現在、米国との貿易戦争激化によって景気が一段と減速し、香港でも抗議デモが拡大するなど、外部から見ると共産党政府が過去数十年間で最悪の逆風に見舞われているかのようだ。

8月16日、中国は現在、米国との貿易戦争激化によって景気が一段と減速し、香港でも抗議デモが拡大するなど、外部から見ると共産党政府が過去数十年間で最悪の逆風に見舞われているかのようだ。写真は6月、大阪で握手するトランプ米大統領(左)と習近平・国家主席(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)

しかし国内では、10月の建国70周年を前に、習近平国家主席が政治的に窮地に立たされている様子はみられない。

トランプ米大統領の気まぐれな通商政策と、香港の混乱について中国政府が唱える米国黒幕論が、習氏にとって格好の援軍となっている。

昨年のこの時期には、政府幹部らが非公式で開く「北戴河会議」に合わせ、政府の経済政策や対米貿易摩擦への対処法に異例の批判が巻き起こった。しかし今年の会議では目立った造反の声が聞かれない。会議は今週閉幕するとみられる。

ある政府顧問は「今の中国では、中国がどう出ようと米国は中国を封じ込めようとしてくる、との見方が大勢を占めつつある」と話す。

この顧問によると、トランプ氏が今月、3000億ドル相当の中国製品に10%の関税を課すと表明したことについて、中国当局者の多くはトランプ氏が真剣に交渉妥結を望んでいない証拠だと受け止めた。また米政権は今月、中国を為替操作国に認定した。

「多くの人々は、トランプ氏と交渉する意味はないと感じるだろう」

<お手並み拝見>

このことは、習氏が2012年に最高指導者に就任して以来貫いてきた国家主義的な政策に符合する。国営メディアはここぞとばかり、米国について敵対的な報道を流している。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報の編集長Hu Xijin氏は先週ツイッターに「米国の貿易戦争によって中国内の親米思想は非常に肩身が狭くなり、共産党が中国社会を結束させることが容易になった」と投稿した。

中国在住のある米国企業幹部は、追加関税を巡るトランプ氏の態度は裏目に出て、習氏の追い風になると指摘。「北戴河会議に出席する習氏にとっては好都合だ。部屋中を見渡し『ほらね、こんな人々とは交渉できないでしょう』と言える。習氏からすれば、トランプ氏の脅しはお手並み拝見といったところだ」と語った。

米戦略国際問題研究所(ワシントン)の中国研究フリーマンチェアー、ジュード・ブランシェット氏は、習氏は特に香港問題など外部的には厳しい環境に直面しているが、国内の立場はさほど弱っていないと言う。

「米大統領が気まぐれな人物だという一点においては、習近平氏は幸運だ。米中関係がここまで悪い方向に進んだのは、予測不可能な米大統領がいるからだと自らを正当化できる」

インターネットが厳しく検閲される中国本土では、香港のデモ参加者らに対する連帯感はほとんど生まれていない。中国政府は米国がデモを画策したとする黒幕説も唱えている。

とはいえ、政界に詳しい筋によれば、トランプ氏の気まぐれさは中国指導部にとって頭痛の種であり、関税によって経済は悪影響を受けている。習氏は貿易戦争や香港の抗議活動にうまく対処するための選択肢をほとんど持たない。

それでも習氏は長年、国家主席の任期撤廃や大規模な汚職摘発を通じて自らの権力基盤を強化しており、現在の危機によって地位を脅かされることはないとアナリストはみている。

ブランシェット氏によると、中国共産党中央委員会総書記という習氏の立場は盤石のようだが、指導部は「不満を抱く人々によるばらばらの連合」であるため、政策を推し進めるのには困難を伴う。だからこそ習氏は、軍部や治安部隊、共産党中央政治局内で支持者らを確保し、厳しい時期に備えて地位を固めているとブランシェット氏は説明した。

<改革停滞のリスク>

一方で、中国内外のアナリストは、習氏による統制強化によって必要な市場改革が遅れていることが、長期的に中国経済を脱線させるリスクだとの認識で一致している。

ある政府当局者は、中国指導部は経済の状況についてナーバスになっており、統制を強化していると話す。

統制強化の一例として、官僚や政府機関、国営メディア、学界、国有企業などの幹部らはロイターに対し、ここ数カ月で共産党思想について学ばされる勉強会が増えたことを明らかにした。

前出の政府顧問は、貿易戦争よりも中国政府自体が経済改革を実行できていないことの方が大きな問題だと指摘。

「政府は何らかの行動を起こす必要があるが、その余裕がない。行動する意欲もない。制約が多すぎて、リスクも多すぎる。だからただ静観している」と話した。

(Michael Martina記者 Kevin Yao記者)

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