October 11, 2019 / 5:06 AM / 2 months ago

米中協議不調でも急速な円高なしか、パウエル・プットに威力

[東京 11日 ロイター] - トランプ米大統領と中国の劉鶴副首相が11日にホワイトハウスで会談することになり、通商協議での歩み寄り期待が市場で広がっている。11日の東京市場は株高・円安で反応しているが、仮に合意に至らず15日に米国が関税引き上げを決めても、円高が急速に進む可能性は低いと予想している。

 10月11日、トランプ米大統領と中国の劉鶴副首相がホワイトハウスで会談することになり、通商協議での歩み寄り期待が市場で広がっている。写真はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長。9月にワシントンで撮影(2019年 ロイター/Sarah Silbiger)

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がリードし、利下げや量的緩和などの追加緩和のカードを繰り出して米経済の底割れを防ぐという市場の期待感が強いからだ。決定的にリスクオフに傾くことがなければ、ドルが105円を突破して100円を目指す円高となる展開は考えにくい。短期的な「パウエル・プット」の威力は絶大だ。

10日の米中閣僚協議の進展度合いについて、双方から説明を受けた全米商工会議所のマイロン・ブリリアント副会頭(国際部門責任者)は「一段と大きな合意を模索している」、「今週の協議で通貨を巡る合意が得られる可能性もある。これにより15日付で米政府が関税措置第4弾を発動させない公算がある」と述べた。

トランプ・劉鶴会談が11日にセットされ「何も合意がないという可能性は下がった」(国内金融機関関係者)との見方も浮上。日経平均.N225は前日比200円を超す上昇となり、ドル/円JPY=EBS>もいったん108円台で取引された。

<米関税引き上げでも、リスクオフ深刻化せず>

ただ、期待しては「裏切られてきたのが、米中交渉」(国内証券関係者)との声も聞かれ、2500億ドルの中国製品に対する関税を25%から30%に引き上げる期限である15日に、「引き上げ」のアナウンスがあるかもしれないという疑心暗鬼も市場に残っている。

もし米中交渉が土壇場で合意に至らず15日に米国が関税引き上げを発表しても、大幅な打撃が市場に加わって、急速に円高が進む可能性は低いと予想する。そのケースでは、FRBが10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決め、量的緩和に踏み込むとの期待感が市場で広がる可能性が高いからだ。

パウエル議長は8日、 民間銀行の準備預金が減少しているとの懸念に対応し、準備預金積み増しのためTビル(国庫短期証券)購入を始めるとの意思をにじませた。同時に量的金融緩和(QE)の再開との見方は強く否定したが、米中協議が不調に終われば、市場でのQE期待が盛り上がりを見せるとみられる。

このような、FRBの追加緩和への強い期待感を背景に、市場心理が強烈に「リスクオフ」へと傾く可能性は低いと思われる。

つまり、株価下落局面でダメージをコントロールする機能を持つプットオプションになぞらえた「パウエル・プット」の効果を、市場はかなり強く意識している。

その結果、ある程度の株価下落が起きても、それに連動して急速に円高が進み、その動きが再び株安を加速させる「スパイラル的」リスクオフ相場の発生を回避できると予測する。

利下げ期待で日米金利差が縮小し、それが円高を誘発するとの見方も根強く市場には存在するが、米中協議の結果公表後の市場では、日米金利差の縮小期待よりも、リスクオフの深刻化回避の方がより強く意識されるのではないか。

ただ、このパウエル・プットの効果にも、一定の限界はある。米欧の複数の金融機関が、リーマン・ショック時のように巨額損失を抱えていると分かった場合、世界の金融・資本市場は大きな衝撃を受け、一瞬のうちに深いリスクオフ相場に直面しかねない。

その時は、G7ないしG20での政策協調が求められるだろう。

当面は「底が抜ける」ような危機を、パウエル・プット効果で阻止できるのではないかと予想する。

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