April 6, 2018 / 4:47 AM / 7 months ago

アングル:米中貿易摩擦、恩恵見込む欧州企業に物色の動き

[ロンドン 5日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は今年3月、貿易戦争に勝者はいないと発言した。しかし米中貿易摩擦は一部の欧州企業にとって中国市場でライバルの米企業からシェアを奪い取る好機で、特に航空機や通信機器、酒などの業界が恩恵を受けそうだ。

 4月5日、米中貿易摩擦は一部の欧州企業にとって中国市場でライバルの米企業からシェアを奪い取る好機で、特に航空機や通信機器、酒などの業界が恩恵を受けそうだ。写真はフランクフルトの証券市場で3月撮影(2018年 ロイター)

トレーダーや投資家は既に目ぼしい銘柄を物色している。GAMの欧州バリュー株ポートフォリオマネジャー、ハンス・ウルリヒ・ヨスト氏は「貿易戦争でチャンスが生まれそうだ」と話す。

中国は米国が中国製品に対して追加関税を課す案を公表したことへの報復措置として米製品に追加関税を課す方針を表明したが、標的には航空機が含まれている。このため米ボーイング(BA.N)が打撃を受け、それによって欧州のエアバス(AIR.PA)の商機が広がる可能性がある。

UBSによると、米国の航空機と自動車の全輸出では中国向けがそれぞれ10%を占めている。同行のアナリストチームの見立てでは、ボーイングが受けるマイナスの影響とエアバスに吹く追い風は限定的。それでもロイターが取材した複数のトレーダーは、エアバス株を買ってボーイングを売る取引を進めている。

消費財の分野でも中国で一部の需要が米国製から欧州製に移る可能性がある。例えばスポーツ用品では米国のナイキ(NKE.N)が逆風にさらされ、競合する独アディダス(ADSGn.DE)がシェアを伸ばしてもおかしくない。

投資家の話では、ナイキは製品のほとんどを中国で製造しており、中国が米製品に追加関税を課しても製品の価格はほとんど変わらない公算が大きい。だが中国の消費者の間で米国製品の不買運動が広がれば影響が出そうだ。

あるポートフォリオマネジャーは、中国人がナイキを避けて欧州ブランドを好むようになると予想し、ナイキを空売りしていると打ち明けた。

ウイスキー「ジャックダニエル」製造の米蒸留酒大手ブラウンフォーマン(BFb.N)など中国向け製品を生産している企業は、より直接的な痛手を受けるかもしれない。4日の株式市場ではペルノ・リカール(PERP.PA)やレミー・コアントロー(RCOP.PA)などフランスの酒造大手株が上昇した。

市場関係者は、フィンランドの通信機器大手ノキア(NOKIA.HE)も恩恵が期待できる銘柄として注目する。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によると、通信機器は欧州にとって最大の対中輸出品だ。

ソシエテ・ジェネラルの欧州株ストラテジストのローランド・カロヤン氏は、ハネウェル(HON.N)などの米企業と直接競合しているスイスの重電大手ABB(ABBN.S)や独シーメンス(SIEGn.DE)を、有望な銘柄に挙げた。

また投資家が、中国が米国勢から仕入れ先を変更すれば事業のプラスになるとみるのはASML(ASML.AS)やインフィニオンIXFGn.DEなど欧州の半導体企業だ。

もっとも国際的なサプライチェーンは複雑に絡み合っており、中国の米国製品に対する追加関税の影響が欧州企業に波及する恐れもある。

例えば欧州の自動車メーカーの一部は米国で生産した車を中国に輸出している。エバーコアのアナリストチームによると、BMW(BMWG.DE)とメルセデスのスポーツタイプ多目的車(SUV)がこの例に当たるという。

(Helen Reid記者)

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