December 3, 2018 / 6:37 AM / 7 days ago

「米中一時休戦」に安心できぬ日本、厳しい矛先向かう恐れも

[東京 3日 ロイター] - 米中首脳会談での交渉決裂という最悪シナリオは避けられ、週明け3日の東京市場は、株高のリスクオンとなっている。しかし、あくまで問題先送りであり、グローバル景気の改善見通しが開けたわけではない。米中が「一時休戦」している間に、トランプ政権による日本への攻撃が厳しくなる可能性があり、安心できないとの指摘も出ている。

<同床異夢の米中合意>

米中で「温度差」があったことが注目されている。

米国側の発表では、2000億ドル相当の中国からの輸入品に対する関税を10%に据え置き、技術移転の強要や知的財産権保護、非関税障壁、サイバー攻撃、サービスや農業分野について、構造改革協議を速やかに開始することで合意した。これらについて今後90日間で合意できなければ、対中関税は25%に引き上げられるとされた。

しかし、中国国営メディアは2日、米中首脳が「重要なコンセンサス」に達したことを伝えたが、90日の期限には言及しなかった。「テクノロジー分野など中国が守りたい分野への言及も乏しく、まさに同床異夢、呉越同舟という首脳会談だった」(外資系証券エコノミスト)との受け止めが市場で多い。

今回、米国が指定した期間、90日後の3月には、中国は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を迎える。中国政府は、貿易戦争で負けたとみられることは避けたいはずであり、米中で「つばぜり合い」を繰り返すテクノロジーなどの分野で、わずか90日間に目覚ましい交渉進展があるとみる市場関係者は少ない。

「90日間の一時休戦」──。市場が懸念していた交渉決裂による報復関税のエスカレートという最悪ケースは、いったん避けられた。

しかし、覇権争いをしている両国にとって、完全合意・最終合意への道のりは遠い。陰りが見え始めたグローバル景気を、さらに悪化させることにはならなかったが、プラス材料が出てきたわけでもない。

<日本に「照準」も>

 12月3日、米中首脳会談での交渉決裂という最悪シナリオは避けられ、東京市場は、株高のリスクオンとなっている。しかし、あくまで問題先送りであり、グローバル景気の改善見通しが開けたわけではない。写真はブエノスアイレスで1日撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

野村総合研究所・エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)、木内登英氏は、米国が貿易問題を巡って欧州連合(EU)と一時停戦した今夏、トランプ政権は貿易政策で中国に対して、より厳しい対応を示したと指摘。「米中一時停戦は、トランプ政権が日本に対してより厳しい姿勢で貿易協議に臨むきっかけとなるのではないか」(3日付リポート)と警戒する。

来年1月から始まる日米通商交渉(日米物品貿易協定、通称TAG)。トランプ政権は、対日貿易赤字削減を繰り返し主張。日本に対して「(赤字削減には)自動車輸出削減や自動車の米国生産拡大、米国からの輸入拡大の全てが必要」(ハガティ駐日米大使、11月16日の発言)と明言している。

安倍晋三首相と30日に会談したトランプ大統領は冒頭、日本による米国の最新鋭ステルス戦闘機F35購入について「非常に評価したい」と謝意を表明した。しかし、同時に「米国の対日貿易赤字は相当に大きく、迅速に解消されるべきだ」とも強調した。

裾野が広く、日本経済への影響が大きい自動車分野。日本として数量規制などの自由貿易の原則に反する対応は避けたいが、米国の対日貿易赤字7兆円のうち、自動車は4兆円を占める。

「農業分野の開放で譲歩したとしても、それでトランプ大統領が満足するとは思えない。自動車分野にいずれ切り込まれる可能性は大きい」と、シティグループ証券・チーフエコノミスト、村嶋帰一氏は指摘する。

<「悲観の揺り戻し」相場>

週明けの東京市場は、「一時休戦」を好感しリスクオンの展開でスタート。日経平均.N225は一時300円以上の上昇となった。業種別でも、海運や自動車、ハイテクなどが上昇。表面上は貿易戦争やグローバル景気への不安感が後退した形だ。

しかし、ドル/円JPY=は40銭ほど円安が進んだものの、昼には上昇幅はほぼなくなってしまった。マーケット全体がリスクオンに傾いているというわけではない。

FXプライムbyGMOの常務取締役、上田眞理人氏は、関税合戦は米国経済にもダメージが及ぶと指摘。「来年のいずれかの時点で、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを停止する」と予想している。

グローバル景気減速と円高懸念、日本株とっては厳しい環境だ。

あくまで「悲観の揺り戻し」──。野村証券クロスアセット・ストラテジストの高田将成氏は、足元の株式相場をこうみる。「景気減速懸念も強く、ヘッジファンドが例年のように年末に向けて日本株も含めた全面的なリスクオンに向かう可能性は低い」と予想。 欧州連合(EU)との離脱(ブレグジット)協定案が英議会で採決される11日あたりが、分岐点になると分析している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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