September 6, 2019 / 2:35 AM / in 10 days

アングル:米中貿易戦争、10月閣僚級交渉でも深まる溝

[5日 ロイター] - 米中両国はこのほど10月初旬に閣僚級の通商交渉を行うことで合意した。しかし両国は5月に交渉が暗礁に乗り上げて以降、互いに制裁関税の強化、約束の不履行、誹謗中傷の応酬などを繰り広げており、妥結はこれまで以上に見通しにくくなっている。

 9月5日、米中10月初旬に閣僚級の通商交渉を行うことで合意したが、互いに制裁関税の強化、約束の不履行、誹謗中傷の応酬などを繰り広げており、妥結はこれまで以上に見通しにくくなっている。写真は5月7日、北京の天安門で撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

通商交渉を巡る最近の両国の動きをまとめた。

<反故にされた約束>

米中両国は10月の閣僚級協議に向けて、9月半ばに準備協議を開く。両国は良好な環境作りに取り組むことで合意したが、具体策は示していない。

5月には中国が知的財産権侵害や技術移転強要といった問題を解決するための法改正の約束を撤回して交渉が行き詰まったが、両国はいずれも交渉に臨む姿勢を変えるとのシグナルを発していない。

米当局者は先に交渉再開は中国が5月の方針転換前の協議文書に基づく話し合いを受け入れるかどうかにかかっていると述べたが、中国が合意した兆しはみられない。

トランプ米大統領と習近平・中国国家主席は6月に大阪で会談し、中国側は米国産大豆2000万トンを購入すると約束したが、これまでの購入量はその半分にとどまっている。一方、米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に米企業が部品を売ることを禁じた措置を緩和すると約束したが、実行していない。

<ファーウェイ問題と香港問題>

中国政府は米企業にファーウェイとの取引を事実上禁じたトランプ氏の決定が痛みのもとになっている。中国は通商交渉での合意の有無にかかわらず、ファーウェイへの制裁を解除するよう求めている。しかし米政府は他国に対してファーウェイとの取引を減らすように働きかけ、他の中国企業の制裁対象リスト掲載をちらつかせている。

トランプ氏が8月14日、香港の大規模デモに対して中国政府が武力介入すれば米中通商交渉での取引が難しくなると述べたことも両国の緊張を高める恐れがある。香港の抗議デモがさらにエスカレートすればその可能性がさらに高まるだろう。

<知的財産権と技術移転>

5月に交渉が行き詰まる前に米当局者は、知的財産権保護と技術移転強制の2点で進展があり、中国がこれまでよりも踏み込んだ提案を行ったと述べていた。また米当局者はサイバー犯罪、サービス、通貨、農業、非関税貿易障壁などの分野でも進展があったとしていた。

一方、中国は世界貿易機関(WTO)のガイドラインに則った政府補助の実施を提案したと説明したが、詳細は明らかにしなかった。

しかし話し合いが物別れとなった後、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は議会公聴会で、中国が中国のコンピューター関連サービスへの米国のアクセスなどデジタル関連の通商問題で中国が約束を撤回したと述べた。

米当局者は中国が今後6年間に農産物やエネルギー、工業製品など1兆ドル余りの財の購入を提案したと述べたが、中国は実際の購入についてはまだ両国間で合意に至っていないとしている。

<交渉手段としての関税>

5月に交渉が暗礁に乗り上げる前に争点となっていたのは、トランプ政権が中国からの輸入品2500億ドル相当に課した25%の制裁関税の撤廃の有無だった。米国は中国に合意を守らせるため、制裁関税の一部継続を望んだが、中国は全制裁関税の即時撤廃を求めていた。

その後事態はエスカレート。米国はこの2500億ドル相当について国慶節(中国の建国記念日)に当たる10月1日に制裁関税を30%に引き上げる予定。また別途3000億ドル相当についても一部については9月1日に関税を15%に引き上げ、残りも12月15日に15%に引き上げる計画だ。

アナリストによると、米政府は中国への歩み寄りを示すため、5%の税率引き上げの延期や、12月15日に予定している15%の制裁関税導入の延期を受け入れる可能性がある。

中国は9月1日から米国産原油に5%の制裁関税を課しているが、こちらも12月15日に予定している税率引き上げを延期する可能性がある。

<国内への悪影響>

トランプ氏は制裁関税のコストを負うのは中国だと繰り返し強調し、国内の小売業者や製造業者への悪影響を否定しているが、最近になって米中通商紛争が短期的には国内経済をも損なうと認め始めた。

中国の交渉責任者である劉鶴副首相も5日、国内経済への下押し圧力は強まっているが、政府はあらゆる困難に対応することが可能との認識を示した。

<まだ使っていない武器>

中国は、中国企業に被害をおよぼしているとみなす外国企業のリストを作成するとしている。また報復手段としてレアアース(希土類)の米国への輸出制限も示唆している。このほか中国が米ボーイング製航空機の注文を取消す可能性もある。

トランプ氏はゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)など米企業に対して中国から生産拠点を引き揚げるよう求めている。

<背景>

中国は航空宇宙、ロボット、半導体、人工知能(AI)、新エネルギー車など戦略的な10セクターについて、2025年までに産業基盤を底上げする方針を打ち出している。しかし米国は中国が技術移転の強制や知的財産権の侵害など、不公正な手段に訴えていると不満を抱いている。一方で中国は、米国の動きは世界経済における中国の台頭を妨害するものと受け止めている。

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