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コラム

コラム:米企業首脳、「トランプ・オプション」保有の価値は

[サンフランシスコ 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米企業首脳にとって、トランプ大統領を支持するのは金融オプションを保有することにやや似た面がある。権利を行使できれば、見返りは大きくなる可能性がある。だが、社会を分断するようなトランプ氏の発言や行動が、国内で幅広い抗議の嵐を巻き起こしているため「トランプ・オプション」の価値は下がりつつあるのかもしれない。

 6月4日、米企業首脳にとって、トランプ大統領を支持するのは金融オプションを保有することにやや似た面がある。写真は2019年3月、ホワイトハウスで開催された労働力政策諮問委員会に出席したアップルのティム・クックCEOとトランプ大統領(2020年 ロイター/Leah Millis)

トランプ氏が大統領に就任した2017年には、何十人もの企業トップが先を争うように、ホワイトハウスに設置された2つの諮問機関の委員になった。

オプションのボラティリティーと同様に、トランプ氏の振れの大きさは魅力の一部を形成した。同氏は既成政治を一変させると約束したし、同氏の政策はあまりに大きく振れたので、企業トップらが自分たちで大統領の決定を形作れると信じかけるほどだった。

トランプ氏が中国との貿易戦争に進んで乗り出してしまったとはいえ、実際のところ減税や規制緩和は有言実行しており、企業側は相当な恩恵も受けられたように見える。

ただ、トランプ氏が17年、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義団体と反対派の衝突事件への対応を誤ると、製造業で構成された諮問機関では多くの企業首脳が委員を辞任した。その先陣を切ったのが製薬大手・メルクMRK.Nの最高経営責任者(CEO)で黒人のケン・フレージャー氏だった。トランプ氏は逆に、メルクが薬価をつり上げていると非難したが、インテルINTC.O、アンダー・アーマーUAA.N、キャンベル・スープCPB.Nといった企業の首脳もフレージャー氏に追随し、この諮問機関自体が解体された。

「トランプ・オプション」は、なお一定の価値を持っている。トランプ氏は依然として企業に打撃を与えることも、支援することもできるからだ。

当時、諮問機関の委員を務めたCEOの6割強はもはや、それぞれの経営トップの座から降りているものの、フレージャー氏は今も職務を続けており、メルクは新型コロナウイルスのワクチン開発競争に最後まで残っている米国勢の1つでもある。

シャーロッツビル事件でトランプ氏に批判的だった小売り大手・ウォルマートのマクミロンCEOにしても、一向に解消しない中国との貿易摩擦に直面する中では、トランプ氏の助力を必要としている。そうした事情があるからこそ、今週複数の企業トップが人種差別に遺憾の意を表明しながらも、トランプ氏を公然と非難しなかったのだろう。

また、投資会社・ブラックストーンのシュワルツマン氏やフェイスブックのザッカーバーグ氏ら十数人のCEOが名を連ね、新型コロナ対策のためにより開かれた形で再開された諮問機関において、正式に脱退を表明したメンバーも見当たらない。

もっとも「トランプ・オプション」には、企業から見てかつてほどのありがたみはなくなった。トランプ氏の路線が保護主義寄りに固まってきて、ボラティリティー、いや政策の振れが以前より乏しくなっているだけでなく、権利行使価格、つまり今年11月に再選する可能性は一段と遠のいているように思われる。

モンマス大学が3日公表した世論調査では、野党・民主党の大統領候補指名が確実視されるバイデン前副大統領の支持率がトランプ氏を11%ポイント上回った。

選挙の本選にはまだ時間があるとはいえ、11月が近づくにつれて、もっと多くのCEOが「トランプ・オプション」を持ち続ける意味を疑うようになるのではないか。

●背景となるニュース

*米製薬大手・メルクのフレージャーCEOは1日のCNBCテレビで、ミネアポリスで白人警官に暴行されて死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんについて「私がそうなってもおかしくなかった」と発言。この事件を受けて各都市で抗議デモが広がる中、フレージャー氏や他の企業首脳は人種差別を非難している。

*フレージャー氏は2017年、白人至上主義団体によるデモや暴力について、トランプ大統領が容認と受け取れる発言をしたことに反発。大統領が設置した諮問機関の委員を辞任。他のCEO委員も追随した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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