October 4, 2019 / 4:52 AM / 2 months ago

コラム:米経済の悪化ペースは想定以上、日銀もぎりぎりの判断か

[東京 4日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が3日に発表した9月の非製造業総合指数は、市場予想を下回り、2016年8月以来の水準に低下した。米中貿易摩擦の悪影響が、ついに米国の非製造業にまで波及し、関税引き上げ「効果」の大きさをまざまざと見せつけた。

 10月4日、米供給管理協会(ISM)が3日に発表した9月の非製造業総合指数は、市場予想を下回り、2016年8月以来の水準に低下した。写真は6月にフロリダで撮影(2019年 ロイター/Carlo Allegri)

今月10日から始まる米中の閣僚級による通商交渉がまたもや「協議継続」となった場合、両国を含む世界経済は景気後退リスクをはらんだ強い逆風にさらされるだろう。

日本政府もこのまま外需が失速した場合、12月ごろにも何らかの経済対策の策定に追い込まれるリスクが出てきた。今月末に金融政策決定会合を開く日銀は、10月に追加緩和に踏み切るのか、それとも内外情勢を見極め、年末に政府と一体となったポリシーミックスを展開するのか、米中交渉をにらみ、ギリギリの決断をすることになりそうだ。

<非製造業も急速に悪化>

9月のISM非製造業の指数悪化は、1日に公表された製造業の軟調な指数に続くものだ。生産が落ち込めば、荷動きも鈍くなる。ビジネス全体が停滞し、ホテルの稼働率が低下するなど非製造業の指数押し下げ要因となる。

世界貿易機関(WTO)は今月1日、2019年の世界貿易の伸び率を4月予想の前年比2.6%から同1.2%へと大幅に引き下げた。2018年の伸びが3.0%だったことと比較すると、世界貿易に急ブレーキがかかっていることがわかる。関連してWTOは「貿易見通しの下振れリスクは大きい。通商政策が大半を占める」と分析した。

また、米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は3日、通商政策を巡る不確実性が投資に影響を与えていると表明。世界経済は減速しており、米輸出・製造業に影響を与えていると指摘した。

とは言え、これほど早く非製造業にまで「悪い数字」が波及するとは、多くの専門家も予想していなかったに違いない。米中貿易摩擦の激化による貿易量の縮小圧力が、製造業の生産と設備投資を悪化させ、思った以上のペースで米国の非製造業の景況感に及んできたと考えるべきだろう。

<じわじわと強まる後退色>

10日からワシントンで米中の閣僚級による通商交渉が再開される。トランプ大統領は9月25日、「中国は合意を切望しており、皆が考えているよりも早期に合意に至る可能性がある」と語った。

もし発言どおりに米中合意が発表された場合、市場は「予想外の展開」と反応し、リスクオン相場が展開され、世界中で株高現象が起きるだろう。

しかし、トランプ大統領が焦って合意を決断しない限り、米中が劇的な妥結に至る可能性は低いだろう。米国が中国に求めている補助金政策の転換や知的財産権保護の強化などは、中国の政策体系の大胆な転換が必要で、中国が簡単に受け入れるとは思えないからだ。

市場も「協議継続」がせいぜいではないか、と予想する声が多い。もし、多数説の予想する結果になった場合、引き上げられた関税は放置されるため、貿易量の縮小傾向は続く。

その場合、市場は短期的には大きく反応しないだろうが、弱いマクロ指標が発表されるたびに、株価水準を小刻みに切り下げていく可能性がある。真綿で首を絞められるように、世界経済はじわじわと後退色を強めていくだろう。

<日銀「10月緩和」は>

この影響は当然、日本の景気にも大きなダウンサイドリスクとなる。

中国依存度の高い日本の工作機械のデータをみると、今年8月の対中受注額は前年同月比40.5%減、1─8月は同46.8%減と大きく落ち込んでいる。中国向け需要の落ち込みは中国以外の地域にも広がり、今や内需の落ち込みも顕在化してきた。工作機械受注全体でも、1─8月は前年比30.6%減まで減少し、年内に回復する見通しが立っていない。

10月1日から実施された消費増税が、そこに追い討ちをかける恐れがある。政府は11月末から12月にかけ、大型の景気対策を策定し、輸出・生産の落ち込みをカバーし、企業と消費者の心理悪化を防ごうとするのではないか。

こうした中、日銀は10月30、31日に金融政策決定会合を迎える。世界的な景気減速を予期できるなら、10月の段階で予防的に追加緩和に踏み切るべき、という声が日銀内で上がっていても驚くべきことではない。

他方、株価や為替動向をみつつ、さらに慎重に事態の推移を見極め、12月に政府・日銀一体となった政策を打ち出すほうが総合的に効果が大きい、という判断もありそうだ。

どのような選択肢を選ぶのか、日銀は月末まで内外情勢を注意深く見守り、ギリギリの決断を迫られる。

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