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コラム

コラム:米大統領選討論会、無秩序論戦がバイデン氏の追い風に

[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大統領選の第1回候補者討論会で民主党候補のバイデン前副大統領は急進派と穏健派の双方が納得する経済政策を説明するよう迫られる可能性があった。しかし実際は、共和党候補のトランプ大統領の無秩序な振る舞いのおかげでその必要はなかった。

9月29日、米大統領選の第1回候補者討論会で民主党候補のバイデン前副大統領は急進派と穏健派の双方が納得する経済政策を説明するよう迫られる可能性があった。写真は29日、オハイオ州クリーブランドで開かれた討論会に参加するバイデン氏(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

29日の論戦は最初から大惨事だった。司会を務めたFOXニュースのキャスター、クリス・ウォレス氏は開始後すぐに、バイデン氏の発言にたびたび割り込むトランプ氏を制することができなくなった。最高裁判事から大統領選の公正性確保に至る問題が議題になったが、90分間の討論会で実のある議論はほとんどなく、トランプ氏はバイデン氏をけなす発言にほぼ終始した。

バイデン氏は非常に幅広い有権者層にアピールする必要がある。同氏が基本的に中道派であることには変わりはないが、民主党はリベラル化が進んでおり、バイデン氏も同様にリベラル色を強めている。同氏は公約に時給15ドルの最低賃金導入や公的な医療保険制度の拡大、中低所得者への公立大学の無償化を打ち出している。

これは急進的な路線への転換には程遠いが、攻撃を受けやすくなったのは確かだ。トランプ氏は民主党の急進リベラル派に「極左勢力」とのレッテルを貼り攻撃を続けてきた。バイデン氏は僅かながら一線を画しており、急進派の代表格であるオカシオコルテス下院議員が提唱する70%の限界税率や、ウォーレン上院議員などが主張する富裕税には同調していない。

トランプ氏は討論会で、特に経済問題に関して、政治的スタンスの問題でバイデン氏を窮地に追い込むこともできたはずだ。失業率が8%を超えているにもかかわらず、米国人の半数以上がなお、トランプ氏の経済的手腕を評価している。トランプ氏は事実、政治的スタンスを巡りバイデン氏に攻撃を仕掛けたが、冒頭の15分で社会主義という言葉を持ち出すなど、現実味を欠き、訴える力は弱かった。

一方、司会者はバイデン氏に増税や気候変動対策などの優先政策課題について厳しい質問を投げ掛けた。しかしバイデン氏は、税金をほとんど支払っていない企業に焦点を絞るなど、質問を有利な形に解釈することで総じてうまく立ち回った。地球温暖化対策の先進的な政策目標「グリーン・ニューディール」や警察への資金配分停止といった急進派の大胆な提案に関しては、賛成派を否定する発言は避けつつ距離を置いた。

討論会ではバイデン氏の政治的スタンスにおける葛藤が掘り下げられる可能性があったが、実際は有権者に対し、「概ね正常な状態」か「混沌」の2つの選択肢を提示する結果に終わった。バイデン氏は、討論会がトランプ氏の独壇場になったことに感謝すべきかもしれない。

●背景となるニュース

*米大統領選の第1回候補者討論会が29日、オハイオ州クリーブランドで開かれた。共和党候補のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領は、最高裁判事の指名や新型コロナウイルス対応について激論を交わした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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